人形の見る夢
第3章 チョコレート
「女の子、じゃないの‥?」
ガラスケースに入ってたのは、まだ子どもみたいな顔をした人形で、女の子か男の子かよくわからない。
「可愛い人形だけど、男の子だよ」
確かに、可愛い。
だけど、あの蜂蜜の子やプラチナブロンドの子みたいに、凄く綺麗な訳じゃない。
子どもだからかしら?
「小さい子‥」
「‥‥‥聞こえてるみたいだよ」
マスターが苦笑してガラスケースを見るけど、知らない。
「いいもん。男の子きらい」
「いじめちゃ駄目だろう。
この人形はまだ、子どもなんだ。
もう少し大きくなったら、君も気に入るくらい美人になるよ、きっと」
「しばらくいるの?」
「まあ、子どもが好きなお客様もいるけどね。暫くは買い手は付かないんじゃないかな」
「マスターはそれでいいの?」
「新しい看板娘にしたいんだよ」
「ふうん」
茶色い髪に瞳
睫は長くて優美な線を作ってる。
手足は華奢‥。
どこにでもいそうな、取り立てて特徴のない子。でも、確かに可愛い‥。
よく見ると繊細な顔をしている。
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