【オトコの話】★ミニ
第1章 ● ステージのないオトコ
■ そして、彼らがとる行動とは…
このように、才能もあり、人一倍努力をしてきたにもかかわらず自分を生かす場に恵まれなかった人が、その不満を解消するために、どういう行動をとるかというと……
聞かれもしないのに「すごいオレ」を語り始めるのである。
それも多くの人を前に、ではなく、小さな集まりで小出しに自慢を始める。例えば、飲み会の席。「オレが留学していた当時は…」「イギリス英語とアメリカ英語では…」「日本の英語教育は…」などと、自分の経験をもとに語学についての自論や主張を繰り広げ始めるのだ。
よくあるのが発音自慢。「音感のいいオレ」が「L」と「R」の発音をいかにきれいに使い分けられるかを、実際に発音しながら自慢し始める。自慢した割には、ネイティブには通じなかったりするので、失笑を買う。それでも、場を変えて言い続ける。
中学生のころ、英語の先生に「L」と「R」の発音を褒められた成功体験(?)から抜け出せず、大人になってもまた、誰かに褒められたいのであろう。
さらに進んで、音感自慢というのもある。「耳がいい」から、発音が難解な中国語が得意な「オレ」を自慢したくてしょうがない。「英語もできるけど、実は中国語も得意なのよね。なぜなら…」と、音感の良さをアピールすることから話が始まるので、面倒くさい。
だいたい、こういう輩は歌のうまさにも妙な自信を持っているので、二次会でカラオケへ行こうものなら、マイクを離さずオンステージ状態になるので要注意である。
対面した相手に直に語るだけではない。ブログで語り始めるタイプもいる。「音感のいいオレ」「ニュアンスの微妙な違いが分かるオレ」「オフには語学系のボランティアなんかもしちゃってるオレ」をしゃべるだけでは飽き足らず、書いてアピールするのだ。
会社には内緒で翻訳のバイトをしているので、本名は決して明かさないが、意味が深すぎてよく分からないハンドルネームのブログを開設し、やっぱり飲み会の席で「オレのブログ、見てみて。こういうタイトルで書いてるから…」と宣伝も忘れない。でも、タイトルからしてややこしくて、誰も覚えてなかったりするのである(名刺くらい作れよっ!)。
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