春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第9章 柊 (続)

「ひかる‥‥‥?」


幼児相手に修羅場となりかけた空間に女性の小さな声が響いた。


「‥‥‥‥、母さん」

光は女性を振り返ってぽつりと呟く。

弟の顔を見たときは、駆けていって抱きしめたのに、母親に対しては随分冷淡な反応だった。


女性の後ろからは、村の寄り合いの者達が、ぞろぞろとやってくる。



「おお、月白様っ。
すいません、ご挨拶が遅れまして。
いや~、光さんも立派になられて、見違えましたわ」


愛想笑いを浮かべる男達を、風はお館様を見たのと同じ冷たい瞳で睨みつけ、光は表情を凍らせた。

この兄弟は村の大人を怖がってる‥。


光の様子に気がついた潔様が、そっと光の腕を掴んで、自分の背中に隠した。



「‥‥息子がお世話になっております。光の母親でございます」



「月白皓と申します。
光は私が預かっています。
年末の忙しいときに、突然押しかけ申し訳ありません」


屋敷では見たことがないような、穏やかで下手な言葉使いに、私だけじゃなくて、潔様やその背中に隠れた光も一瞬目を見張った。


本当に、結婚の挨拶をしに来た男のようだ。



「とんでも御座いませんよ。
月白様のおかげで、村もこの通り持ち直しました。訪ねてきていただけると聞いて、それはそれは楽しみにしておりました。ぜひ今日は、村の特産品である、」


村の代表者らしい男は突然べらべらと話し始めた。
‥何なのかしら。



「失礼ですが、月白様は光の母に話があってここに来ています。後にして頂けますか」


長くなりかけた話を潔様が、ばっさりと切った。彼の表情は険しかった。
光の顔が強張っている。


私もそろそろ、喫茶店にいる綾香が気になっていた。



「ああこれは、失礼しました。
どうぞどうぞ、中にお入り下さい。
何もありませんが、特産品のリンゴを使ったケーキを用意してますよ」


男は、小さな公民館のような建物に入るように促すが、光と風が明らかに強張った顔をした。

双子達も、兄達の様子を敏感に感じ取っているのか、顔を背けた。



「悪いが、場所は選ばせて貰おう。
すぐそこに喫茶店がありましたね。
そこまで、ご足労頂けますか?」


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