春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
春夏秋冬 第9章 柊 (続)
「光、」


弟たちが落ち着いたタイミングでお館様が声をかけると、光はこっちを向いて頷いた。


「風、おいで。紹介するから」


光に背中を押されて私達の前に来た上の弟は、もう笑ってなかった。瞳には、隠しきれない嫌悪が浮かんでいた。

だけど、お館様はそんな弟に自分から近づいていった。潔様も影のようにそっと、お館様の後ろを歩く。



「はじめまして。
長い間、挨拶にも来なくて、すまなかった。俺が月白、皓だ」


謝った‥。
あのお館様が、子ども相手に。



だけど、風は答えない。
大きな瞳で真っ直ぐお館様を見つめたまま、微動だにしなかった。

代わりのように、彼に抱かれた春という弟が不思議そうに首を傾げた。


「だあれ?何しに来たの?」


「、」


この子は光が何故家を出たのか、たぶん周りの大人達に説明をされていない。

なんて説明したものか、お館様もとっさに言葉が出ないようだった。

だけど風はそんなお館様に冷たい視線を向ける。



「‥俺達から、兄貴を引き離した張本人だ」


「兄ちゃん、連れて行った人‥?」


「そうだ、俺が光を連れていった。
今、一緒に暮らしている」


正直なお館様の言葉に、双子の目に同時にじわっと涙が浮かぶ。光はお館様と弟達のやり取りを、辛そうに見つめていた。


「なんで、
なんで兄ちゃん、連れてくの?」


「好きなんだ、光のこと。
だから一緒に暮らしたい」


「兄ちゃん、好きなの?」


「うん、」


迷いなく頷く館様に、光はうっすら頬を染め、その光の顔を見た風の冷たい目に動揺が浮かんだ。


「兄ちゃん、俺の兄ちゃんだもん」


だけど、それまで光に抱っこされて大人しくしていた双子の片割れが声を上げた。まろい頬を赤く染めて怒っている。


「好きでも連れて行っちゃ、駄目だもん。俺の兄ちゃんなんだから」


「っ、」


そう、光はこの幼くて愛らしい弟達の大事な兄だったんだ。誰かの勝手にされていい子なんかじゃない。

子どもには、お館様と村の大人達、ひいては自分達の母親の間にどんなやり取りがあったのか分からない。

だからこそ、的確に罪を暴く‥。
87
最初 前へ 84858687888990 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ