春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第9章 柊 (続)
皓様と光には予定通り、無事に列車内で合流できた。2人とも元気そうで、王都滞在はトラブルなく過ごせたみたいでほっとした。


列車は個室を2つ用意していたから、一つは皓様と光と俺、もう一つは雪達親子で使った。


列車の中で食事を済ませると、程なくして目的の駅に着いた。そこからは、用意していた車に乗り換え、村に向かった。

車はだんだんと農村地帯へと進んでいき、和やかだった車内も次第に会話が減っていった。

特に光は車が進につれて、表情がなくなり、黙って窓の外を見つめ続けた。皓様はそんな光の横顔を気遣わしげに見つめていた。


やはり、光の胸の内は複雑なのだろう。

今、皓様との関係がうまくいっていたとしても、皓様や俺達にも、家族にも、消せない恨みはあるのだろうから‥。


このあたりの風景は、俺にも見覚えがあった。去年、一昨年と、何度も車で通った道だ。 きっと皓様も覚えているだろう。



「お兄ちゃん家、遠いの?」


気詰まりになっていた車内に、雪の娘の幼い声が響いた。 ずっと、大人しくしていたけど、そろそろ飽きてきたのかもしれない。


窓の外を見つめていた光が漸く、視線を窓から離した。


「ごめんね、綾ちゃん。ちょっと待っててね」


「うん。綾香待ってる。
お兄ちゃん抱っこして」


雪の娘は人懐っこいのか、人見知りすることなく、光に向かって手を伸ばした。


「‥いいよ、おいで」


光も皓様も一瞬驚いた顔をしたけど、光は慣れた様子で、綾香の手を掴んで自分の膝の上にのせた。

光にも綾香と同じ歳の弟が2人いる。
子供の相手は慣れているんだろう。


だけど、光の膝に抱き上げられてご機嫌な綾香に反して、皓様の眉が僅かによった。
まさか、幼児相手に焼き餅もないだろうが、面白くはなさそうだ。


「綾香っ、ダメよ、こっち来なさい」


「やぁだ」


雪が慌てて、綾香を抱き上げようとするけど、光に抱きついて離れない。光も子どもに懐かれて嬉しかったのか、強ばっていた顔を綻ばせた。


皓様はというと、そんな2人を見て、今度こそ顔をしかめる。いくら何でも、ちょっと心が狭すぎだ。


「綾香っ、こっち来て」


「や、お兄ちゃんのところにいる」
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