春夏秋冬
第1章 春
「必要な書類、これで全部?」
「いや、リビングの机にも」
「はいはい。食事、車の中でいい?」
「うん、その方がいい」
寝起きで食欲が湧かないが、少し時間をおいたら食べる気になるかもしれない。
「光のこと、よろしく。
目が覚めたら、自分で部屋に帰れると思うけど、昼前に様子を見てやって」
「ハイよ‥。一週間も皓様が帰ってこなかったら、寂しがるかな」
「いや…、ちょうどいい息抜きだろう」
潔は俺の荷物を纏めて、部屋の入り口で身支度が整うのを待つ。
こんな場面を見せられれば、一見仲睦まじく見えるかもしれないが、光が俺に言う言葉は、怖いっ、と嫌っ!!!、だけだ。
偶には息抜きをさせてやらないと、そのうち光まで不眠症になりかねない。
少し眉の寄った寝顔に一度だけ口づけて、ドアの前に立つ潔を追いかけた。
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