春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 19:34

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
春夏秋冬 第8章 柊
言いにくいが、いつまでも悩んではいられない。また、明後日には王都行きだ。
今日こそ光と話をしようと思い、早めに仕事を切り上げて帰ってきた。
光は金平を作ったと言って、隣で酌をしてくれて一緒に夕飯を食べていた。

…言わなくては。



「………、光、あの、ね」

「はい?」

「年末年始、休みなんだよ。
年始は客が来るから忙しいが。
だから、年末に一緒に出かけないか?」


覚悟を決めたはずなのにはっきり言えない俺に、光は何故か、瞳をきらきらさせる。


「‥‥‥クリスマス、ですか?」


「クリスマス??、
ああ、そうだ、年越しの前にクリスマスだった…。ひか、欲しい物がある?」


そうだった。年末の前には子供とカップルの大好きなクリスマスだ。つい、自分の考えに一杯になって大事なイベントを忘れていた。


「クリスマスツリー、見たいです。
一緒に…」


「クリスマスか、俺は仕事で王都だけど一緒に行く?
あそこなら、大きなツリーが見れるよ」


「お仕事、ついて行ってもいいんですか」



「おいで、一緒にクリスマス過ごそう」
それで仕事が終わったら、そのまま、2人で旅行に行こうか」


「旅行、ですか?」


「そう、一泊二日で」


「どこにですか?」


「光、一度ご家族に会いたくないか?」

「な、に?」


不思議そうな顔をしていた光の表情が一瞬で固まった。
やはり、家族や故郷の話は光には鬼門だったか。
だか、この際はっきり言わなくては。


「俺は光のご家族に会ってない。
一度、光と一緒に会いに行きたい。
光は元気にしてますって、報告させて欲しい」



「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんで」

光は混乱しているのか、もった茶碗をテーブルに置いたり持ったりを繰り返す。

「嫌かな」


「‥、」


困ってるのか、光は小さく口元を震わせている。

「村に行くの、怖い…?」


光は微かに頷いた。
光は俺が無理やりに引き取った。
けど、実際に光を無理やり連れて来たのは村の人間だ……。
俺は、自分で光を迎えに行かなかったから。


79
最初 前へ 76777879808182 次へ 最後
ページへ 
TOP