春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第8章 柊
「里帰り、でごさいますか?」


雪は困惑するように、眉を寄せた。


「いや、そんな大袈裟な物じゃなくて。家族の顔が見れたらいいんじゃないかと思ったんだ。
無理矢理連れてきて以来、光には故郷に連れていってない」


「‥‥‥無理矢理」

雪は、目を伏せる。
子どもと離れて暮らす雪には、俺の振る舞いはさぞ、非道に映っただろう。だからこそ、光の味方になってくれるだろうと思い、光の世話役に彼女を選んだ。


「‥‥あの子は、俺が一目惚れして、強引に引き取ったんだ。
光は俺のことを、きっと今でも恨んでる。そのわだかまりが解ければと、そう思ってる」



「光の意思を聞いてみないことには何とも‥。光はあれでとても神経の細い子です。自分の身に起きたことをなんて捉えているのか」


「俺が、悪かったんだ。傲慢だった」


傍にいてくれれば、それしか考えていなかった。光に、俺は人形じゃないと泣かれて、漸く自分がしたことの意味に気がついた。

償えるものなら、償いたい。
光とその家族に許して欲しい。


「直接、話してみてはどうですか。
里帰りが、お館様からの愛情から出た話だと分かれば、本人も喜ぶでしょう。
でも、くれぐれも、帰すつもりがないことは、良くお話下さいませ」


「帰りたがるかな…」


帰りたいと泣かれたら、どうしたらいいだろうか。


「逆、かと…。
あの子は親に売られた以上、お館様の隣以外に居場所がないのです。
もし、暇に出されるのだと勘違いでもしたら、せっかく得ている平穏が揺らぎかねない」


「ゆき?」



「光が慣れない稽古事も、勉強も、一生懸命やろうとするのは、お館様に褒めて貰いたい一心です。
‥子供の心は、大人が思うよりもっと、繊細です」



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