春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 19:34

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春夏秋冬 第1章 春
「苦しいっ!」


のし掛かるように抱き締められて、一瞬息が止まる。肩に食い込んだ指が痛い。
さっきまで穏やか微睡んでいたのに、突然興奮した皓に心臓が破れそうなくらい驚いた。




「な、なにっ…?」


「‥唇にして」


強引な動きに反して、皓の声はやけに静かだったが緊張が滲んでいた。


「や、怖いっ」



無理やり押さえつける皓の腕の中から抜け出そうともがくと、彼は疲れたようにため息を吐いて、腕の力を抜いた。



「我が儘、お子様…、怖くないって何度も言ってるだろう?

キスぐらいしてくれてもいいだろ?」


「いや…」


「泣くなったら…、
光は何で俺のところに連れてこられたか分かってる?」


呆れたような声に反して、落ち着きを取り戻した丁寧な指先が俺の乱れた髪を梳いた。

俺は金で買われた妾だ。
村の借金を皓が肩代わりするかわりに、俺は皓に差し出されたのだ。


黙っていると、皓が俺の顔にすり寄ってくる。柔らかくて滑らかな肌だった。



「頬でいいからもう一回キスして」


嫌だ、
そう思うけど、やらない限り皓も引く様子がなくて、しょうがなく、その白い頬に口づけた。


ちょんと触れるだけのキスをして離れたけど、皓はもう怒らなかった。そっと胸の深くに抱き寄せられて、耳元でお休み、と囁かれた。

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