春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第6章 台風
ー皓versionー

王都で光が作ったカレーは市販のルーを使った、ごくシンプルな物だと思う。
けれど、それがかえって俺や潔の舌には新鮮で優しかった。



通常の仕事と災害の後処理に忙殺されながら、食事は殆ど外食で簡単に済ませていた。完全な栄養管理と絶妙な味付けだと評判の料理を食べながら、何度も光が作った素朴な味のカレーを思い出していた。

  優しい味の物が食べたい。

けど、売っていないことだけはよく分かっていたから、帰りたくてしょうがなかった。

寝る暇を惜しんで働く俺の姿を見て、よほど台風被害にあった領地が気になるのだろうと思ったらしく、労いの言葉は数多もらった。
中には誹謗も無くはなかったが、生憎、そんな物が気になるような細い神経はしていない。

領地のことは出来る限りのことはしてきたし、潔に後を任せた以上、余計な心配はしていなかった。

ただ、光のことが気になっていた。
また体調を崩したり、女中とケンカしてストレスを溜めていないだろうか。

あの子の作った物を食べて、腕の中に抱き締めて眠りたかった。




ようやく帰ってきてみれば、光は部屋にはいなくて、とても焦った。

聞いても誰も光の行き先は分からないし、世話役の雪も一緒にいないという。
もう待てなくて、自分で屋敷の中を歩き回った。

光を見つけたのは厨房だった。

まな板の上には、人参やジャガイモ。
ああ‥、カレーを作ってくれるんだ。 俺のために作ってくれる料理だ。

そう思ったら、途端に焦りも、寂しさも和らいだ。


赤くなってまな板の上の物を隠す光が可愛くて、頬と額に口づけた。
唇にしなかったのは、人が見ていたからだ。

だけど、光はそれでも恥ずかしかったみたいで、赤い顔を更に赤くして、プルプルと震えていた。あの子の、子どもっぽいところが可愛くて、好きだ。
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