春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
春夏秋冬 第6章 台風
雪さんにつき合ってもらって、厨房でカレーを作っていた。



「上手じゃない、でも大きさは均等に切った方がいいわ」


「はい、」


少し離れたところでは、料理人さんが夕飯の仕込みを始めていた。と言っても今夜もこの屋敷の主は不在だ。

料理人さんは、突然厨房を使いたいと言い出した俺に驚いていたが、邪険にせず包丁とまな板を貸してくれた。


「綺麗に切れたわね。さて、炒めますか」



「ちょっっ、雪、光さんっ。
こんな所にいたの、お館様が探してるわっ」


「「えっ、」」


静だった厨房に、当然女性の高い声と乱暴に開けられた扉の音が響いた。
皓様はまだ王都のはずだ。

雪さんと顔を見合わせていると、呼びに来た女中さんは焦れったそうに眉を潜めた。


「帰ってこられたのよ。部屋にいない光さんを探してるわ」


俺は部屋でジッとしていなきゃいけないんだろうか‥。


「光、今日はもう部屋に戻りましょう」


むっとした俺の背中を叩いて、雪さんがお開きにしましょうと促す。


「はい‥」


「早くっ」


しつこく早く早くと繰り返す女中さんに急かされながら、手を洗っていると、聞き覚えのある声に呼ばれた。


「光、こんな所にいたの?」


「お館様っ!?」


突然、厨房にあまりに不似合いな真っ黒で上質なスーツを着込んだ皓様が飛び込んできた。

「ちょっっ、お館様っ、。駄目ですよ、こんな汚いとこに入って来ちゃ」


厨房に乱入してきた皓様に呆然として、その綺麗な顔を見つめてしまったが、焦った料理人さんが慌てて皓様を止めた。


「汚いことはないだろう」


「そりゃ、清潔ですが。
ってそうじゃなくて。服が汚れます。殿方は台所なんて入るもんじゃないですよ」


「光も男の子だが?」


‥一瞬、この場にいた全員が“まずい”と言う顔をした。
もしかして、俺が厨房に入ったことが皓様の気に障ったのだろうか。

せっかく、雪さんも料理人さんも俺の我が儘につき合ってくれたのに。


「皓様っ、俺がお願いしたんです」


「別に怒ってないよ。駄目だとも言ってない。
俺の方が台所に入るなと怒られたんだ」


口を尖らせて、子どもの言い訳のようなことを言う皓様に、つい頬が緩んだ。


「‥お帰りなさいませ」

ようやく、この屋敷の主が帰って来た…。


50
最初 前へ 47484950515253 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ