春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 19:34

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春夏秋冬 第1章 春

「‥眠れないときもある。
だけど、別に今に始まったことじゃない。
明日の朝は早いが移動の車の中でも休める」


皓は何でもない事のように呟いて、また俺の頬にすり寄った。
くすぐったい…。



「なぜ?」


「うん?」


「なぜ、眠れないのですか?」


「‥光は、よく眠れている?」


眠れない。今まさに眠たいのに眠れないでいた。



「眠れません」


言えば、皓は少し笑った。
部屋に来たときの不気味さや苛立ったような気配は落ち着いてた。



「寝ていいよ。もう襲ったりしないから」


そう言われてもさっきの今で信じられるわけもないし、眠気は感じても慣れない体温に落ち着かなかった。



「皓様は…、なぜ?」


「…時々、気分が高ぶったまま収まらなくなる。だが、じきに落ち着く」



けれど、その前に夜が明けてしまうような気がした。


皓の手は、相変わらず一定のリズムでぼん、ぽん、と俺の頭を静かに撫でていた。
それはまるで俺を寝かしつけるようで、自分自身が眠りたがっているようだった。


「どうしたら、眠れますか?」


皓が眠ってくれないと俺も安心して眠れない。


「‥さあ、
光がキスしてくれたら眠れるかもね」


他愛ない冗談のような言葉だった。皓からは、俺が部屋に来たときのような、強引な気配はもう感じなかった。


だからだろうか。それとも単に俺が寝ぼけていたのか。すぐ傍にある皓の白い頬に、自分の唇を押し当てた。



「‥ひかる、」


皓は呆然と瞬きした後、突然抱き潰すような強い力で俺を押さえつけた。


「いっ!?」




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