春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第6章 台風
その夜、皓様から電話があった。

少し眠ってすっきりした顔の潔様が真剣な顔で電話越しに何事か話し合っていた。
どうやら事態はかなり深刻なようだ…。

仕事の話が終わると、電話機の隣にしゃがみ込んで話を伺っていた俺に、潔様がおいでと手招きする。

笑って受話器を渡されて、少し顔が赤くなった。
恥ずかしい。


『‥ひかる?、久しぶり』

「は、い」

電話越しに、皓様の優しくて低く響く声が聞こえた。
淡々と抑揚の少ない喋り方はいつも通りにも、力無いようにも聞こえた。


『ちゃんと食べて寝てる?』

ちゃんと食べて寝てないのは、寧ろ潔様で、多分皓様もだ。

「はい。ちゃんと食べてるし、寝ています」

『本当に?
お願いだから、元気にしてて。また、風邪なんてひかないように雪の言うことをちゃんと聞くんだよ』

雪さんは入院して以来、俺の専属になった世話役兼教育係の女性だ。
優しくてのんびりした人で、おかげで俺はいろんな女中さんと関わらなくて済むようになって静かに生活している。

「本当に元気だし、ちゃんと潔様や雪さんの言うと聞いています。
…だから心配しないで。皓様も無理しないでください」


『うん、ありがとう。
光も夜更かししないで、もうおやすみ』

皓様の声が、少し柔らかく甘くなった。
その声に、胸がとくっと鳴る。
寂しい…。何の話でもいいからまだ声を聞いていたかった。


「…おやすみなさい」


皓様には俺と無駄話をしている時間はないのだ。
そう分かっていても、まだ話したりなくて、つい拗ねたような声がでた。
電話越しの皓様は、クスッと笑う。

『潔に代わってくれる?
おやすみ、光。大好きだよ』

「い、潔様っ、」

耳に直接流れ込む甘すぎる声に、びっくりして、とっさに受話器を耳から引き離して潔様に差し出た。

真っ赤になった俺に笑いながら潔様は受話器を受け取って、皓様とまた話し出した。

赤くなった顔が恥ずかしくて、そのまま急いで自分の部屋に駆け込んで、ベッドに入った。



…大好き。


思い出して、また胸が痛くなる。
皓様は一体、いつ帰ってくるんだろう…。

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