春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第5章 百合
「靴、気に入った?」


「はい‥。ありがとうございます」


一緒に入ったベッドの中で、光はふわっと笑う。




買ったのは、革靴だった。
少し踵が高くなったデザインが気に入ったようで、部屋に帰ってきてもずっと箱を抱えていた。



他にも買った革靴に似合うようにと、服やら鞄やら一通り買い物をしたが、終わる頃には、光は少しぐったりしていた。

思えば屋敷の外に出すことを考えていなかったから、光には靴に限らず、外出するための道具がなにもなかった。


買い物の後は荷物を抱えたまま、2人で居酒屋に入った。レストランでは緊張する、テーブルマナーがわからないと言う光に合わせて、敢えて居酒屋にした。


和食ならどんな料亭に連れていっても問題なかったが、洋食の作法は教えていなかった。


だが、肩の凝る料亭じゃなくても、2人で食べる食事は旨かった。


塞ぎ込んでいた機嫌はいつの間にか落ち着いたみたいだった。

外に出たがっていたのを受け入れたのが良かったのか、行きの車の中ではまだ表情は堅かったが、気が付いたら俺の肩を優しくさすってくれていた。


夕食の時には、だいぶ柔らかい顔をしていて、俺の仕事の話を笑って聞いていた。

それに、明日の夕食にはホテルの部屋のミニキッチンで、何か作ってみると言ってくれた。



「明日、本当に夕飯作ってくれる?」


「お屋敷での食事みたいに立派な物は作れませんけど。俺に出来るのは、
せいぜい、カレーかな…」



「カレーか
いいね、楽しみにしてる」


何でも、いいんだ。
光が作ってくれるなら。


「他に、食べたい物があれば、」


「カレーがいい」



「‥‥はい」


光は俺の腕の中で微笑む。
かわいい。
胸がじんわり熱くなっていく。


「好きだよ」


前に伝えたときは、泣いて拒否された言葉が自然に口から出た。


「人形だなんて思ってない」



「‥‥はい」




光は俯いたまま頷く。
その耳は、少し赤くなっていた。
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