春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第5章 百合
この2、3日、光の様子がおかしいことには気が付いていた。笑わなくなったし、お茶に誘ってもお茶菓子に手をつけない。庭に出たいと、拗ねたりもしない。

これは皓様となにかあったなと思ってはいた。


けれど…。


「王都に連れていくぅっ!?」


明け方皓様を起こしに部屋に行ったら、珍しく皓様も光も既に起きていた。


「そう、一緒に連れていく」


皓様がふさぎ込んだままの光を置いて、王都に行くのを気にしていたのも解っていたけど、まさかそう来るとは思わなかった。



「光、本当に行くの?」

嘘でしょっ、と思って光を振り返る。
もともと、静かな農村地域で育って、ここ数か月はほとんど屋敷の中で過ごしてきた子だ。突然、王都なんて人や物の多いところへ連れていくなんて無茶だ。


「行きます。行きたい」


「潔、連れて行くよ」

 
「本気かよ!考え直してよ。光は屋敷にいる方が、生活しやすいし、皓様も仕事に集中できるでしょう?光が外に出たいなら、俺が近所に連れて行ってあげるよ」


光は外に出たがっていて、だけど皓様は光を外に出すことを恐れている。
強引に連れて来た光が、目を離した隙に逃げてしまうんじゃないかと心配している。
それに、今は本当に光の精神状態も良くない気がする。
お互いのために、こんな強行軍の様な予定は勧められない。


「本気だ」


だけど、皓様の中で心は決まってしまったようで、端然と俺の顔を見つめ返す。


「~わかったよ、俺も行くよ」

「いや、潔は明日来る予定だっただろう。仕事はどうするんだ」

そう、俺は今日は屋敷内の仕事をして、明日の昼に王都に行き、皓様と合流する予定だった。だけど、仕方ないじゃないか。俺だって、光のことは可愛い。出来るだけ、向こうで快適に過ごせるようにしてやりたい。


「一緒に行って、光の泊まるところと食事の手配をしたら帰ってくるよ。それで、明日また夕方に行くから」


「…助かる」


皓様は、ふっと笑う。
その背中で、光もほっとした様に頬を緩めた。


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