春夏秋冬
第4章 霧
皓視点
「嘘っ」
悲鳴のような声を上げて、首を振る光に呆然とした。
「ひかる?、どうして?
俺は光が好きだよ。嘘なんかじゃない」
「違うっ。皓様は俺なんか好きじゃない」
光の様子がおかしい。
顔が強ばり、口元が震えている。
目には今にもこぼれそうに涙が浮かんでいた。
「ひかる、どうした?
何をそんなに、」
怯えているの?
「皓様は俺なんか好きじゃないっ」
「好きだよ。可愛く思ってる。
もうずっと光が好きだ…」
掛け値なしの本心だ。
光を連れてくる前から、この子がまだ14だった時からずっと、好きだった。
光は、俺に気づかなかったけど、元気に川辺で弟たちと遊ぶ姿に癒されていた。
あの夏の日にこの子を見つけて以来、ずっと焦がれていた。
傍にいて欲しいと、思った。
焦がれるばかりだった光にどう接していいのかわからなくて高圧的な態度もとった。
だけど、意図して光を傷つけようなんて思ったことはなかった。
「なら何故、俺を金で買ったのです…?何故、俺の今までを壊したのですか」
「ひか、る、」
「俺はっ、人形じゃないっ!」
自分のしたことはわっているつもりだった。だけど、俺はこうやって光本人に弾劾されるまで、本当は何も分かってなかった。
俺がしたことで、光が村でどんな目にあったかも、わかっていなかった…。
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