春夏秋冬
第4章 霧
皓様が強引で傲慢な主のままなら、わざわざ責める気持ちも湧かないまま諦められたのかもしれない。
それとも、俺が皓様を嫌い続ければ、自分の中にある、好意と憎悪の板挟みになることもなかったのかもしれない。
夕立に濡れて帰ってきた皓様は、いつもより更に艶やかで美しかった。
いつもそんなことを言わないのに、一緒に風呂に入ろうと、恥ずかしがる俺を強引に風呂に入れた。
イタズラのように胸を遊ばれて、嫌なのに気持ちよくて、けぶるような色香を放った皓様のする事に逆らえなかった。
結局すぐにのぼせて、風呂から上げてもらうことになったけど、少し休んだ後、ベッドの上でも同じ事をされた。後ろから裸の体を抱きしめられて、執拗にそこを触られる。
じんじんと乳首が熱くなって、痛みに似た痺れのような、痒みのような何とも言えない感覚がこみ上げてくる。腰や下腹部が、じんわりと熱く重くなる。
どうにかなってしまいそうで、嫌だと言葉を荒げた。何でこんな事するのか、離してと言えば、皓様は少し悩んで、俺が好きだからと言う。
心の底に沈んでいた怨みが、ぶぁぁと大きく浮かび上がって悲鳴を上げた。
…ならなんで、あんな事をしたのですか。何の言葉もなく、顔も見せてくれないまま、何故金で買ったりしたのですか?
あなたは自分の思い通りにならなきゃ嫌なんだ。
高価な着物はたくさん買ってもらった。だけど、一足だって俺の靴はない。
綺麗な広い部屋で立派な家具に囲まれて生活してる。 だけど、潔様以外の人を俺に近づけるのを嫌がる。
俺は、人形じゃない…。
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