春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第4章 霧
世話役になったのは雪さんという女中さんだった。
三十代半ばで、はっきりした性格の綺麗な人だ。


皓様も少し変わった。
自分の部屋に俺を呼ぶよりも、ご自分が俺の部屋に来て、過ごされるようになった。

仕事から帰ると、俺の部屋に来て時間が早ければ一緒に夕食を取る。 遅いと、彼だけ晩酌して、俺は隣で酌をしつつ、皓様が買ってきてくれたお土産を摘む。
もっと時間が遅いと、食事は済ませたと言って、俺を抱えて、すぐにベッドに入りたがる。

胸元に俺を抱き寄せて、浅い睡眠をとって、明け方には起こしに来た潔様と去っていく。


日付が変わる程遅く帰宅された日は、ご自分の部屋で休むようだった。潔様曰く、あれでも夜中に光を起こして、明け方また睡眠妨害するのを気にしてるんだよ、と笑っていた。

王都に行っているときでも、時々夜に電話をかけてくる。雪さんがニヤニヤしながら、お館様から電話よ、と笑う。

変わりない?、と聞かれて、最後はおやすみ、と囁く彼に、俺もお休みなさいと言って電話を切る。

優しくされればされるほど、戸惑う。
皓様が気にかけてくれるほど、その関心が薄れるのが怖くなった。 …皓様が好きだった。


潔様や雪さんのことも、好きだ。




だけど、彼が好きだと自覚した瞬間、諦めたように心に沈殿していた恨みが胸を騒がせ始める。

皓様が隣で静かに穏やかな顔で晩酌して、ふと眼があった俺に微笑みかける。透けるように白い肌に、顔に影を落とす程長い睫が優雅に瞬くのを我を忘れて見とれた。

ベッドの中で、頬を撫でられて、触れるだけのキスが額に落とされるたび、その柔らかな感触にうっとりする自分がいた。

けれど、そのたびに胸の奥で、俺の日常を壊したのは、他でもないこの男なのだと悲鳴が上がる。
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