春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第4章 霧
潔様は時々、屋敷の外れにある東屋にお茶しに行こうよ、と俺を誘う。彼が忙しい時間の合間を裂いて、俺の相手をしてくれているのは分かったし、彼のことは嫌いじゃなかったから、誘われるとついて行った。

でも基本的には俺は外に出ることを禁止されてる。だから、俺が外に出たい、庭を歩きたいというと彼は困った顔をする。

でも時々は脱走しないでね、皓様には内緒だからね、と言って靴を用意して、一緒に庭を歩く。


だけど、病院から帰ってきて、随分体調が良くなった後も、潔様は外の散歩は駄目だという。

ちょっとだけ、庭の桜の姿を見たいだけなのに。




「光、頼むから拗ねないで。
俺には、今回のことに責任がある。
君を外に連れ出して風邪をひかせて。…こんな事になった。
光には申し訳なかったと思ってる。
皓様にも謝罪しなきゃいけない。それが済むまではダメだ」



「潔様は、何も」


この人は何も悪くない。
寝込んでいた俺を助けてくれただけだ。



「俺はこの屋敷の使用人頭だ。使用人達の管理や教育には責任がある。今回のことは俺の責任だ。ごめんね、光」



「謝らないで、ください」



俺には潔様に謝ってもらう資格はない。死んでいいと思った。張り詰めていた糸が切れていた。どこにも居場所がないなら、もう、死んでいい。 そう思って自分から助かる道を放棄した。



でも、潔様は俺を見つけた。




「庭の散歩は皓様が帰ってきたら、二人でいきな。大丈夫、桜はまだ散らないし、皓様はもう帰ってくるから」


「はい‥」









潔様が言ったように、次の日に皓様は帰ってきた。

具合を悪くしたのか、痩せたんじゃないのか、食事はしてるのかと、心配そうに聞いてくる。


庭に出たいのだと言えば、一瞬吃驚した顔をしていたが結局、抱きかかえて桜の下まで連れて行ってくれた。

上の弟が生まれて以来、誰かに抱っこしてもらったのは、久しぶりだった。





この日を境に、俺の部屋に食事を運んでいた例の女中3人は屋敷を去ったそうだ。そして俺には専属の世話役がついた。
皓様も潔様も、あの風邪の時、女中達の嫌がらせがあったにしても、自分から何のリアクションもしなかった俺を訝しんでいるようだった。

目が離せない、そう思ったのかもしれない。
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