春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第4章 霧
「いいんじゃない、別に。本人が食べないんだから。きっと部屋にお菓子やジュースでも置いてるんでしょ」


「ああ。お館様がクッキーだとかチョコレートだとか高価な菓子をお土産に買ってくるってお供の男達が言ってたわ」


「どうせあの田舎者に味なんかわかる訳ないのにね。私が欲しいわ」


「あんたはせんべいで十分よ」


「何よっ」


キャッキャッと笑いながら部屋を出ていく女達の煩わしい足音。


…この部屋に菓子なんて置いてないよ。

皓様の買ってくるお菓子は、きっと本当に高価なもので、どれも宝石箱のような美しい箱に少しだけ入っていた。

夕飯の後に2人で摘んでおしまいだ。

確かに俺には味なんか分からなかった。
チョコを食べて、苦いっと顔をしかめる俺を皓様は笑ってみていた…。

甘い物は欲しくない。ただ、冷えた水が欲しい。
部屋の外に出たい。それだけだ…。


あの日、皓様の部屋の窓から見えた桜の木。潔様が王都にいく前に、俺を庭に出してくれて一緒に見た七分咲きの花。

あれは、もう散ってしまった?





それから先の記憶は定かじゃない。
その後も女中達が食事を運んできていたのか、持って来もしなかったのか、潔様に聞かれたけど実際には俺は記憶していない。

ただ、いつも掃除に来てくれていた若い女中さんの声は何度か聞いたような気がする。だけど、彼女も寝室までは入ってこなかったのだろう、顔を合わせた記憶はない。






















「ひかる!?」


皓様……?

真剣な顔ですぐに医者に連れていくと言った潔に、ただ頷いた。





助けて欲しかった。
心配して欲しかった。
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