春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

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春夏秋冬 第4章 霧
光の回想


あの風邪をひいたときから、皓様への思いは少し変わった。




喉が痛かった。ついで体中の節々が痛くなった。まずい、風邪をひいた。そう思ったけど、出来ることはなくて、する事もなかった。
あのとき俺は、自分で思ってるより、潔様が思っているより無気力だった。

嫌おうと憎もうと、皓様と過ごす夜のためだけに、この屋敷にいた。それでも何とか、“自分”を無くしたくなくて、掃除なんかしてみたけど。

体の具合が悪くなれば、気持ちが折れるのもあっという間だった。


苦しい、辛い。
食事は欲しくないけど、水分は欲しい。うつらうつらする意識の中で、ずっと渇きを感じていた。水が欲しい。

だけど夕飯の時間に届けられた食事は、もたもたしている間に、手をつけずに下げられてしまった。

寝室から出てこない俺に、女中さんは、いい御身分ですこと、まるで殿様の様、と言葉を投げていった。


夕方から寝室に籠もって横になっている俺を怠惰だと思ったのだろう。
いや、そうじゃなくても、多分嫌われてる。

…もう、どうでもいい。
誰も構わないでくれ。

皓様も潔様もいないなら、それでいい。このまま、熱と乾きで死んでしまうのなら、それがいい。

男に買われていった息子なんて、母さんだって、もういらないだろう。幼い弟達は俺に何が起きたのかきっと良くわかっていない。その方がいい。




うつらうつらした意識は浮上したり落下したりを繰り返す。 目が覚める度、辛くて苦しくて、痛い。


どのくらい、そうしていただろう。
またリビングの方から人の声がする。


「ちょっと、いくら何でもまずくない!?、もう丸一日、何も食べてないわよ」




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