春夏秋冬
春夏秋冬
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/02/27
最終更新日:2013/07/21 00:33

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
春夏秋冬 第2章 桜
『ごめんなさい…』

『なーんで、謝ってるの?』

『面倒、かけたから』


病院に個室で、光は粗末なベッドに、
俺は堅いソファーに横になる。
消灯の済んだ暗い部屋の中で、光がぼそぼそとしゃべる。
少し元気になってきたのかもしれない。


『俺達が悪かったんだよ、ごめんね。気づいてあげなくて』


なんで具合が悪いのに一人で寝ていたの、とは言わない。
その辺の事情は、屋敷に帰って女中達に話を聞けばわかるだろう。


『皓様の言った通り、早く帰ってきて正解だったよ。
危うく、月曜日にミイラになった光を皓様と発見するところだった』


このまま誰も気づかずに、三日放置されていたらと思うと、
本当に背筋が寒い。


『皓様は、まだお帰りにならないんですか?』


光もさすがに心細かったのか、今日はいつもより少しだけよく喋る。



『うん、仕事がまだ残ってるからね。
皓が君のことを凄く気にするから、俺だけ先に帰ってきたんだよ。
だんだけ過保護なのと思ったけど、正解だった』

『すみません』

『光は、もう謝るの禁止ね。
でもミイラになってなくてよかった。
皓に殺されるとことだったよ』

『そんなこと…』

『そうじゃなきゃ、皓がミイラになっていたかもね』


子供が屋敷の中で飢えていたのもショックだけど、
それを見た時の皓のショックと思うと、目の前がぐらぐらする。
今後こそ、不眠症が再発するだろう。


『皓様…』

『さみしい?』


皓が屋敷を離れるときに同じことを聞けば、光は何でもない顔でいいえ、と答えた。
だけど、今度は逡巡した後、ゆっくり頷いた。


『干からびて、ミイラになるかと思いました…』

『ごめんね…』


それは皓への愛情とはまた違うようだけど、
少なくとも皓の愛情が自分を守っているとは思ったみたいだった。

本当は、光にとって屋敷は居心地のいい場所にしてあげたかったんだけどね。



光はそのあと、すぐに眠ったようだった。
18
最初 前へ 15161718192021 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ