春夏秋冬
第2章 桜
ー皓versionー
俺は何をしているんだろう…。
昨日の夜を思い出して溜め息がでた。
また光を泣かせてしまった。優しくしたいはずなのに、子供の扱いがわからない。
俺より、よほど潔の方が光とうまくやっていた。
「月白さま。
どうされました?つまらない顔をされて。さぁさぁ、飲んでください」
同僚達と接待に連れ出されていた。
出来ることなら、無意味な騒ぎに加わるよりは部屋で一人休みたかった。体が疲れてる。
酒は嫌いじゃないが強くない。こんな気分の乗らない日に深酒すれば、翌日みっともないことになるのは確実だ。
だが、露出の高いドレスを纏った女が妖艶に微笑んで、美しい気泡を上げるシャンパングラスを俺に差し出した。
グラスを渡す際に、意味ありげに俺の手を撫でる。
豊かな栗色の髪と同じ色の瞳。光と似た色彩をした少女だった。
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