春夏秋冬
第9章 柊 (続)
潔version
クリスマスは2人で過ごすのだと言って、光は皓様が滞在中の王都に向かった。
王都は二度目だし、運転手付きでホテルの前まで送り届ければ、危ないこともないだろうと一人で行かせた。
夜、皓様に電話すれば、無事に会えたと言うし、一安心した。
皓様の仕事納めの日まで2人は王都で過ごした。皓様からの連絡では、クリスマスデートも上手くいき、光の機嫌もいいと言う。
皓様は、光の前では取り繕っているが、まるで娘さんを下さいと、ご両親に挨拶にいく男のように緊張しているようだった。
緊張はするだろう。
何せ、光の家族にとったら自分達は人買いだ。 その家族に今更挨拶に行くのだ。
それに光の口振りだと、
光の母親は息子が男に買われたことに少なからぬショックを受けているようだ。
修羅場にならないとは言い切れない。
だけど、せっかくの里帰りだし、旅行だ。なるべくなら、楽しくなればいいと思う。 雪も結局、五歳の娘を連れてくることした。
2人は王都から列車に乗り、俺と雪達母子は万葉から列車に乗って合流した。
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