☆ボインちゃんはAVギャル番外編(ぷぅ子の痛快疾走な生き様)2
第8章 時々朝の空気は味方になる・フィーリングという名の魔法はどんな時間帯にも必ずある
電車を降りると、耳からヘッドホンを外し音楽プレーヤーを上着のポケットに入れた。朝の7時。階段を上がって地上に出れば、この辺りは人気が少ないので、これ以外の時間帯で味わえない感覚。
ゆっくり歩き出しながら淳はこの空気に感性を委ねる。本当は朝は嫌いだ、普段の出勤もこんなに早いわけではない。まして今日は休日。それでも朝の8時にぷぅ子を呼び出したのは、今この空気が必要だったが故。
感性が刺激されるモノがある。頭の中でモヤモヤと動く不確かな絵が確固たるモノになるような感じだ。常に苦労する想像という産物の切り取り。それが簡単に出来る様に思う感覚。そこには確かに、確かに現実と夢の狭間が存在する。
ファーストフードの中に入り、窓際の一番奥の席に座って外を眺めていた。
淳という男。小学生の時に、小学2年生だったか学校を早退した時に衝撃を受けた。普段見慣れている世界が別のように見えた事を。その時、自分の中にある幻は全て現実に引っ張り出せるような気がした。口から火を吹く怪獣でさえそこに存在するだろうと。
それ以来、この感覚は大変重要なモノ。どの時間帯にもある。ただし限られている。今日は朝からぷぅ子と一緒に過ごす必要があるため、この時間を選んだ。朝の10時はダメだ、もう魔法は消えてしまう。この感覚を得ておけば、今日一日は上手いくいく。そう思える。上手くいく、かならず。
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