雪天使~お前に捧ぐカノン~
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発行者:妃宮 咲梗
価格:章別決済
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ジャンル:青春・友情
シリーズ:【第一章】 ギャングウォリアー力闘編

公開開始日:2012/02/07
最終更新日:2013/11/28 09:44

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雪天使~お前に捧ぐカノン~ 第9章 act,8:輝かしきもの
 これがスラムだったら、一人の子供の死体が見つかっても身元不明の無縁仏として、処理されるに過ぎない。悲しむ者が一人でもいればマシな方。下手すれば泣いてくれる者は誰もなく、ひっそりと存在感のないまま、無意味に生まれて死んでゆく。
 しかしこれだけの権力者となると、まるで立場が違うだろう。ひとたび訃報のニュースが流れれば忽ち全世界に知れ渡り、世界中のほとんどの人間が同情を示し失意感を露にし、悲哀の念を向ける事だろう。
 同じ人間であるにも関わらず、ただ住む世界が違うだけでこれ程までに扱いが違うのだ。
 まるで野良犬と愛犬家に飼われるペット犬程の差だ。野良や野犬は狩られ、駆除されるが、ペット犬はこの世の極楽なまでの生活を、それこそその辺の人間よりも贅沢な生涯が約束される。
 シャルギエルは周囲を気にしてカノンとロードの肩をそれぞれ両腕で抱き寄せると、校門から離れる。
「あんだけ目立たないよう用心しろって言ったのに、何のんきにRの配下になってんだい!」
 カノンは怒りの表情を向ける。
「阿呆が。誰があいつの下になんかなるかよ。俺はあくまでも“グループの一員として”加わったまでだ」
「でもあんたがそう思っていないように、あいつだってそんな生易しい事は思っちゃいないよ!」
 一方ロードは、周囲の高貴なオーラが向ける眼差しに気負わされてオロオロしている。
 どっちを向いてもスラリと長身の美男美女ばかりで、お洒落なファッションにゴージャスな飾り物を身に付け、この街その物がいい香りに満たされまるで天国のようだ。
 建物一つとっても芸美技術の粋を集結させている。人の歩き方も真っ直ぐしんなりゆったりと、もしくは美しいラインを保ったままキビキビと歩行している様は、いかにも宇宙人に見える。
 ロードにとって生まれて初めて見る眩いまでの極楽浄土のような世界の美しさに、まるで罰を与えられている罪人のように逆に恐れた。ロードの心の方が、ここに住む人間より何倍も純粋無垢で清らかであるのにだ。
 その人の手で築き上げられた、華やかかつ中世と近未来がバランス良く融合された、高級地区たる慣れぬ独特のエリア。美しい物で本来癒されるべき筈が、ロードの潜在意識には醜い自己満足と優越感が織り成す地獄に思えたのだ。
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