雪天使~お前に捧ぐカノン~
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成人向アフィリエイトOK
発行者:妃宮 咲梗
価格:章別決済
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ジャンル:青春・友情
シリーズ:【第一章】 ギャングウォリアー力闘編

公開開始日:2012/02/07
最終更新日:2013/11/28 09:44

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雪天使~お前に捧ぐカノン~ 第7章 act,6:コンプレックス
 産まれたての未熟な赤ん坊が弱々しく手足を震わせながらも、生きるべく必死に泣き声を響かせていた十年前。泣き声に誘われるように辿り着いた先に、死に絶えた小児母の股の下に転がって仔猫か仔ヤギの様な鳴き声で生を求めもがいていた未熟な新生児。
 当時九歳のエリートは、この儚い命をそっと抱き上げるとまるで宿命の如く以後、周囲にいる乳母(ナニー)を尋ね回っては必死にスモールを死なせないように手を尽くした。
 それから十年後。
 遠くからカノンと共に仲良く歩くロードの姿を、羨ましそうに眺める寂しそうなスモールの様子に見兼ねたエリートは、静かに近付いてしゃがみ込むとその小さな肩に手を置いて言った。
「その気持ちはきっとお前を大きくする。スモール。今は辛いだろうが逃げてはいけない。必ずそれが将来お前の糧となり、いつかきっと、お前が自分の力で栄光を掴む時が来る。体の大きさなんて関係ない。要は如何に大きい運を手にするかだよ。その時は、その幸運を思う存分最後の一滴まで利用し、自信を持って生きてゆけ」
 エリートの言葉に、スモールは目を潤ませて彼の顔を見上げた。
「泣くな。人前で涙を決して流してはいけない。ただでさえ小さい体のお前だ。馬鹿にされる事も多いだろう。だからこそ涙を見せたらそれに慣れてしまい、ただの泣き虫になる。どうしても泣きたくなった時は一人っきりで、気が済むまで思う存分泣けばいい。そうして心を綺麗に洗い流した後には、更にお前の心のパロメーターも上がるだろう。――強くなれスモール」
 そう言うエリートの言葉には優しさの中にも、畏怖を与えるぐらいの厳しさがあった。
 スモールは涙を呑むと、代わりに固く拳を握り口唇を噛み締めた。
「俺としちゃあ極力俺ら二人を見習って、ロードと仲良く将来を担って欲しいもんだがなぁ……。今の所結構あのガキの気の強さは俺買ってんだしよぉ……」
 少し離れた場所で椅子に跨っていたRが、老人が言いそうな事をこの年ではまだ気が早くも静かに呟くのだった……。

 シャルギエルがこの街に来る、数ヶ月前の出来事であった。

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