雪天使~お前に捧ぐカノン~
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成人向アフィリエイトOK
発行者:妃宮 咲梗
価格:章別決済
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ジャンル:青春・友情
シリーズ:【第一章】 ギャングウォリアー力闘編

公開開始日:2012/02/07
最終更新日:2013/11/28 09:44

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雪天使~お前に捧ぐカノン~ 第7章 act,6:コンプレックス
「気をつけて帰りなよ。あんたが一緒にいてくれるのは嬉しいけど、この街に長居させる訳にはいかないと思ってしまう……。この街にいたら明日が毎日来るとは限らない……。特にあんたみたいな金持ちの息子だと余計に狙われる。もうあんたはあのツートップコンビに先に目を付けられたみたいだから、他の連中があんたに手出しはもう出来ないだろうけど……。だからこそ余計に、あいつらが相手である事が心配でたまらなくなる……」
 カノンは傍らにある、シャルギエルの片手に自分の手を重ね置く。
「大丈夫だ。安心しろ。いくら俺がお前等から見れば世間知らずな箱入りのボンでも、そう簡単にやられる程馬鹿じゃねぇ。金持ちには金持ちなりの高度な技も知識も学び得ているもんだ。心配するな」
 彼は優しい口調で言いながら、その重ねてきた彼女の手に更に自分のもう片手を置いて優しく擦った。その時、眠る時に常に解くシャルギエルの長い漆黒の髪がサラサラと前方に流れ落ちた。
「そっか。改めてこうして見たらあんた、髪長かったっけね」
 カノンは言いながら彼の艶やかな黒髪にそっと手をやる。
「サラサラで綺麗……。それにとてもいい香りがする」
 そう静かに言いながら自分の髪を触る彼女を、シャルギエルは無言で見詰める。その目上辺りまでカットされた前髪の向こうから、彼の透き通るようなマリンブルーの瞳が覗く。
「……改めて見ると、本当いい男だね」
「当然だ。遅ぇよ気付くの。どうだ。まさかこの俺についに惚れたか」
「クス。全く自信過剰なんだから……。どうせあたいはあんたにとってガキだから、対象に入んないだろ」
 すこし皮肉を込めるカノン。
「んー、そうだな。いくらスラムの住人だと言っても、せめて身なりを気にするようになるだけでガキから一歩、抜け出せるんじゃねぇか? 折角の赤い巻き毛も汚れて毛色の良さが発揮され損ねている上に、正直若干臭うしな」
 シャルギエルの言葉に敏感に反応したカノンは、途端に跳ね起きて自分の髪や腕をクンクン嗅ぐと、顔を真っ赤にする。
「自分磨きを意識し始めりゃ女の仲間入りだな」
 ニッと意地悪げな笑みをそんなカノンに見せながら、シャルギエルは自分の長髪を後ろ一つに束ねる。
 今まで別に自分の身なりなど気にした事がなかったカノンだったが、いま初めて女としての“恥”を覚えた瞬間だった。
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