雪天使~お前に捧ぐカノン~
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発行者:妃宮 咲梗
価格:章別決済
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ジャンル:青春・友情
シリーズ:【第一章】 ギャングウォリアー力闘編

公開開始日:2012/02/07
最終更新日:2013/11/28 09:44

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雪天使~お前に捧ぐカノン~ 第4章 act,3:オーファン
 そして再び今まで座っていたガタつく一斗缶に、注意深く倒れないか確認しながら座り直すと、何事もなかったかの様に薄いコーヒーを一口含む。
「うわ! これフワフワで凄く気持ちいいよ姉ちゃん! しかも何かいい香りするし」
 無邪気に大喜びしてシャルギエルから受け取ったファーマフラーに、ロードは嬉しそうに顔を擦り付ける。
「そうかい」
 自分の肩に掛けられたコートに腕を通しながら、久し振りに十歳の子供らしく心から純粋にはしゃいで見せるロードの様子に優しく微笑むカノン。
 男物のコートのせいで小柄な彼女にはまるでブカブカで、袖は余り足元もスッポリ隠れて裾が地についてしまっている。
 しかし彼女は腕まくりをして、上半身部分にだけ付いているファスナーを閉め、その長すぎる裾を両手で持ち上げて満足そうな表情で肩を竦めた。
 口にこそ出さないが、カノンもまたロードと同感でその着心地の良さ、そのコート一枚で十分すぎる温もり。そしてやはりほんのりと上品な香りが鼻孔を擽るのか、肩に鼻を近付けて十三歳の少女らしく愛らしい表情を浮かべる。
 そしてロードと顔を見合わせると、嬉しそうにお互い囁く様に笑い合う。その無垢な少女の笑顔を見詰めながらシャルギエルは、膝に肘を付いた状態で頬杖付いて呟く様に言った。
「お前、さ。苦労してる割にはその、いい……笑顔、見せんだな」
 その言葉に我に返ったカノンは、大人びた目つきに戻ってそのまま流し目を彼に向けると意地悪げに言った。
「何さ。早速口説いてんのかい?」
「バッ! バカ言ってんじゃねえ! 誰がお前みてえな子供、女として見るかよ!」
 カッと赤面する顔を隠す様にそう強がりを言いつつ、彼女からそっぽ向く。
「子供か……十三年間苦労してきたけどまだ子供のままなんて……。もうすっかり大人にでもなった位の気持ちだよ」
 カノンは溜め息混じりで言うと、まるで人生に疲れた様に肩をガックリ落として俯く。
 暫く沈黙の中にパチパチと火の弾ける音が響く。
 無言になった彼女を気遣い、そっぽ向いてドラム缶の火を見詰めていたシャルギエルは、再度カノンの方を向くとゆっくり口を開いた。
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