雪天使~お前に捧ぐカノン~
第21章 act,20:インビテーション
つまり眼下はあの天使像の泉がある中庭があって、ここから斜向かいにリビングルームから出入り可能なあのテラスがあるのだ。
しかしここにはソファーがあるものの、部屋ではないようだ。入って来たドアと向かい合う形で、丁度真向かいに次へと続くドアがある。これ以上ここにいても何もなさそうなので、その次へのドアを開けてみた。
するとまた長い廊下が続き、右手には手前側に小さなドア、その先に両開きの分厚(ぶあつ)そうな大きいドアがあった。
中世時代を思わせるアンティーク調の模様がそのドアいっぱいに刻み込まれていて、上にはシャルギエルの名が浮き彫られたプレートが埋め込まれていた。
ここが本邸側のあいつのマイルームか…。ロードは改めて驚嘆しながらその前を通過すると、今度は二股に分かれて中央に向け弧を描くように緩やかなカーブになった大階段が姿を現した。一瞬メイン階段かとも思ったが、雰囲気的に違うなと直感でロードは思った。
その階段を通り過ぎ更に直進すると、その先にある廊下はどこか華やいだ雰囲気に外装が変わっていた。廊下に敷かれたラグもピンク色をして可愛らしい。この先も先程通過したシャルギエルの部屋と同じ造りになっていて、違いはそれらが女性的だということだった。
廊下には生花も飾られている。女……? そうか。妹がいるって言ってたもんな。その子のテリトリーか。ここは。だったらさっさとここからは退散して、一階に降りてみるか。
つまりこのエリアは子供部屋になっているようだった。ロードは引き返し階段を下りる。
すると正面へ続く廊下と、左に進む廊下があり、ロードは左を選んだ。そうこうしている内に……。
――ヤベェ。しっかり迷った…。戻ろうにも戻り方すらもう分からない。ただ少なくともこれ以上行くと、パーティー会場に近付く事は騒音で分かった。
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