雪天使~お前に捧ぐカノン~
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成人向アフィリエイトOK
発行者:妃宮 咲梗
価格:章別決済
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ジャンル:青春・友情
シリーズ:【第一章】 ギャングウォリアー力闘編

公開開始日:2012/02/07
最終更新日:2013/11/28 09:44

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雪天使~お前に捧ぐカノン~ 第19章 act,18:パシフィックタイム
「この際ドライヤーぐらい御自分でやって頂きますよ。決定したからにはもう今は貴方よりこの子が優先だ」
 椅子に座らせたカノンの髪を触りながらフランクは、目を輝かせている。カリスマ美容師の腕が騒ぐのだろう。
「ふ。お抱えにしている主に対してこのザマときやがる。別にいいさ。気を楽にして整えてもらえよ」
 シャルギエルはカノンにウインクすると、リビングで十人ぐらい座れそうな広いテーブルの上に置いたノートパソコンの画面と睨みあっている忍鷹の元に向かった。彼はテラスを背にした方の端に座っている。
「まさかPCまで扱えるとは軽んじてたよ」
「学校で教わるだろう普通に。どれだけ庶民を侮る気だお前は。付け上がった考え方してるといつか逆に馬鹿にされるのは自分だぞ」
 忍鷹は相変わらずPCに目を向けたままサラリと応酬する。
「……お前の言い方はトゲがあるんだよ。傷付くだろう」
 シャルギエルはブスくれる。
「そいつはお互い様だ。傲慢ちきな御曹子。己の欠点なんざ人に言われるまで自分で気付かないものだ。傷付いて世を知る事こそ利口への近道になる」
 忍鷹は不屈の笑みを見せると、テーブルに散乱するプリントした写真を掻き集めて、シャルギエルがいる向かい側へと投げて寄越した。
「サンクス。うむ……。バッチリだな。今に見てろ……。Rに代わって俺がSCCの出入りを可能にしてやる。その時が決戦の火蓋が切って落とされる時だ……。ひとまずイブのパーティーで会おう」
 シャルギエルは写真に写る父親の部下でもある、臓器売買を裏ビジネスにしている男を指で弾いた。
「宣戦布告は大いに結構だがな。先にその頭どうにかしろ。まるで女の風呂上りのように見えて気色が悪い」
 忍鷹はシャルギエルから馥郁たるアロマソープの香りと、頭に巻かれたタオルとバスローブ姿を前にげんなりした表情で言った。
「アラそ~ぉ? ひょっとしてその気にさせちゃったかしらん♪」
 シャルギエルがふざけて腰と頭にそれぞれ手を当てて、体をくねらせるとウインクする。
「よさんか! そういう人種はアースン一人だけで百人力なぐらい十分だ!」
 彼の愚劣に少しムキになる忍鷹に、「あいつに惚れられてるもんなーお前」と言いつつシャルギエルは高らかに笑いながら洗顔場へと姿を消した。
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