雪天使~お前に捧ぐカノン~
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成人向アフィリエイトOK
発行者:妃宮 咲梗
価格:章別決済
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ジャンル:青春・友情
シリーズ:【第一章】 ギャングウォリアー力闘編

公開開始日:2012/02/07
最終更新日:2013/11/28 09:44

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雪天使~お前に捧ぐカノン~ 第1章 ―プロローグ―
 六坪程の1Kみたいな部屋で、簡易流し台と一人暮らし用の小さな冷蔵庫。
 そしていま老人が横たわるベッドが一つ。
 普段は二人一緒に寝起きしてきたが老人が倒れてこの三日、幼女は老神父を気遣ってベッドの下の床に直に毛布に包まって眠っていた。
 他には木のテーブルに木椅子が二つ。
 ベッドの横には衣類をしまう為のタンスが一つ。
 天井には剥き出しの裸電球が吊り下げられているのみ。
 どれにして見ても質素で古い部屋だった。
 祭壇の方も二十人座れるぐらいしかない狭さで、この幼女が知る限りではこの教会に祈りに来る者も一日二、三人の高年齢者ばかり。
 そんな常連信者もこの一年の間に二人の死を、この教会で見送った。
 全くと言って良い程もう寄付すらないこの古教会は、貧しさのどん底にあった。
 それに重ねてこの近代的な歓楽街に粘り強く根を張り続けている、このまるで街に似つかわしくないボロ教会は街の組合の連中からイメージを下げると嫌がられていた。
 だが先にこの場所にいたのは教会の方だが、組合連中は図々しくも後から進出しておきながら何度も立ち退き要請に来た。
 しかしこの老神父が頑としてそれを受け入れず今に至っている。
 お蔭で幽霊小屋だのと散々嫌がらせを受け、更にこの教会の居心地は悪くなる一方だったが神父は負けなかった。
 心無い人達から変わり者だの、妖怪ジジイだのと罵られても文句を言わずにただ黙って祭壇で祈りを捧げ、そして唯一の理解者である幼女の為に空き時間にはオルガンで音楽を弾き、聖書に纏わる話を語って聞かせるのだ。
 幼女はそんな老神父の深くて温かい、そのしわがれ声が大好きだった。
 その優しかった愛する老神父の命の灯火が今、この幼女の目前で消えようとしている。

「……お前に最後に出会えて……ワシは本当に良かった……幸せを……有り難う……カノン……」
 そう囁く様にゆっくり口にすると、静かに老神父は目を閉じた。
「ダメよ逝っちゃ! 神父様がいなくなったらあのくみあいのやつらがおおぜいで押しかけて、あっと言う間にこの教会をこわしちゃうわ!」
 目を閉ざした老人の目を開けさせようと、幼女は慌てて早口で言葉を連ねる。
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