仄暗い部屋から
仄暗い部屋から
成人向
発行者:神崎真紅
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/01/28
最終更新日:2012/06/20 13:54

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仄暗い部屋から 第13章 act 12 狭間
無論、賢司の声にも反応もしない。
どうすりゃいいんだよ…。
風呂!
風呂に入れて少しでも、身体から抜かなきゃ。
賢司はバスルームに入り、熱い湯をバスタブに溜め始めた。

ただ…。
どうやって瞳を風呂に入れたらいいのか、皆目見当がつかない。
寝室に戻ってみると、瞳はベッドに倒れていた。


「瞳?」


慌てて瞳の胸に手をあてる。
鼓動が聞こえて来たけれど、かなり遅い。瞳の心臓は、辛うじてそのリズムを打ってはいたが、弱く、今にも止まりそうにゆっくりだった。

とにかく、このままにしちまったら瞳は生ける屍みたいになっちまう。


「瞳…、ごめんな…。」

「……。」


賢司は瞳を抱き上げて、一緒にバスタブに浸かった。熱い…。
賢司の顔からみるみる噴き出す汗。
それでも賢司は瞳を抱いたまま、熱い湯に浸かっていた。

やがて瞳の顔からも、汗が滲み流れ落ちて来た。


「あっ…?」


瞳が声を出した。


「瞳?気が付いたか?俺が判るか?」


「だれ…?」


「賢司だよ、判らねぇか?」


「寒い…、あたし何処にいるのかな…?」


賢司が何を言っても、瞳から返って来る答えはちんぷんかんぷんなものばかりだった。
賢司の落胆ぶりは、如何なものだっただろうか?

自分で蒔いた種とは言え、これが覚醒剤の恐怖のひとつだろう。
瞳はこのまま壊れてしまうのだろうか…?

かれこれ30分、賢司は瞳を抱いたまま汗だくになりながらも、バスタブに浸かっていた。

これで…。
少しでも薬は抜ける筈だけど…。

実際には何の保証もない。一般論で覚醒剤を抜くには、水を4~5㍑毎日飲んで排出するしかない。
それと、汗をかかせる事位だった。
病院によっては裏で覚醒剤を抜く点滴をやってくれる所もある。
賢司もその点滴で抜いた事もある。
内偵が入ったらしい情報を聞いた時の事だった。
身体から反応が出なければ、警察からは何とか逃げられる。
尤も(もっとも)所持していない事が最前提だが。
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