生真面目な彼女
第3章 分岐点
「あと3分」
先日終業式を迎え、とうとう夏休みに突入した。
今私は秋吉の家。
そして、私と秋吉は机を挟んで相対している。
私はストップウォッチを片手に秋吉を見る。
秋吉は必死に机の上に広げられた私の作った手作り感満載の問題を解いている。
カリカリと紙の上を走る鉛筆の音が部屋の中を占める。
前回の失敗から数日。
私はまだ、秋吉の家庭教師を務めていた。
失敗したその日は、さすがにこれ以上は無理かもしれないと心を折りかけた私だったが、時間が経ち、心が落ち着いてくると、むくむくと負けず嫌いな性格がどうしてももたげてきてしまった。
ここで諦めてしまっていいのか?
あそこまでいいように触られて弄ばれて、出た結果がこれでいいのか?
ぐるぐると頭の中を、自問自答する思考と、秋吉母の嬉しそうな顔や秋吉にさせたテストの点数がちらついた。
で、結局、私は秋吉の前に座っている。
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