生真面目な彼女
第2章 深みへ
「これはどうしてこうなる?」
「それは――…で―っ!んっ…」
「真唯子?」
「や…なん、でも…ない」
秋吉に勉強を教えることになって3日目。
何とか、勉強は進んでいる。
しかし、当初の予想通りというか、予想を上回る形での事態が続いていると言っても良いかもしれない。
予想通り…いいや、予想通りであって良いはずがない。
こんな親の顔をまともに見れなくなりそうなことになるなんてこと、予想できていながら勉強を教える話を提示されて受け入れていたら、自分は実は結構な好き者だったのではないかと絶望するはずだ。
うん。絶望できる。確実に。
…現在、秋吉の部屋。
目の前には机。
そして、秋吉のために用意した勉強グッズ。
で、目の前には秋吉の男前な顔―――とくればまずまずな状況であったであろうが、そう話は簡単にはいかない。
目の前には秋吉のベッドが見えるだけで、秋吉は居ない。
では、何処にいるのか。
それは…うん、はっきり言おう。
私の後ろだ。
正確に状況をまとめるならば、私を抱きこんだ状態で秋吉は勉強をしている。
私は秋吉に抱きこまれた状態で、勉強を教えている。
つまりそういうことだ。
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