虚飾の扉
虚飾の扉
アフィリエイトOK
発行者:てきーら
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2011/12/04
最終更新日:2011/12/04 23:29

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
虚飾の扉 第1章 誘い
真冬の凍てつくが、澄み切った爽やかなスカイブルーに染まったとある平日の午後、厚也は都内に一人で繰り出していた。渋谷から青山通りを抜けて、広く長く続く表参道の並木道には、飛び切り洒落た衣を纏った高貴な雰囲気の婦人が、ゆったり流れる白昼の空気をひとり愉しんでいるかのようにスマートに歩いている。やがて若者で賑わう街・原宿の交差点までやってくる。クリスマスも間近に控え、いつもと変わらない陽気な若い男女等の群れで溢れかえっている。絶えず行き来する自動車やバイクの音に入り雑じり、彼らの声も軽やかに無数に交錯している。
「このチョコバナナのやつマジ美味しいね」 「うん」
竹下通り入ってすぐ近くのお店からは、クレープの甘い匂いが漂ってくる。雑貨店の近くでは数人の黒人が、何やら道ゆく娘にたどたどしい日本語で声を掛けて呼び止めようとしている。
「ねぇ、そこのお姉さん、ちょっとちょっと」
「………」
相変わらず竹下通りは、学生やフリーターらの若い連中の人込みでごった返していた。
そんななか、厚也は今日の面接場所であるLFビルに入る。此処までなんなく歩いてきた彼にも幾分緊張感が増してゆく。エレベータにはけばけばしい恰好をしたギャル達も混じっている。一階から四階までは、多数のファッションショップやコスメ店が集中している商業施設となっているのである。厚也が今日訪れようとしている場所は最上階にあった。七階に着き事務所まで行くと、金髪の事務員らしき若い女の子があくせくとデスクの周りで忙しなく作業をしていた。
「こんにちは」
「ハイ。あっ、ごめんなさい。ちょっと向こうの部屋で待っててもらえるかな」
彼はこのフロアの突き当たりの応接間で待つ事となった。今いる七階は複数の事務所が扉を相向かいにして、その間を挟んでいる廊下はまるで小さな迷路のように入り組んでもいた。
何分くらい、重たい感じのする黒い扉の向こうのそこで待っていただろう。やがて、二人の面接官らしき女二人が入ってくる。一人は色黒でバレーの選手のように背の高い女、もう一人はどこにでもいそうなぽっちゃりした感じの女であった。
2
最初 前へ 1234567 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ