魔怪探偵『ユート』
第2章 第二章:灰色のヒーロー
唯「あ、あの・・・」
?「ん、しかも丁度被害者が居るか。あぁ嬢ちゃん、そんなら暫く黙って見ていてくれ」
唯「え、あ、はい・・・」
唯も助けに来てくれた(?)男に何か話を聞こうとしたが、どうやら取り込み中だということで後にするよう逆に言われてしまう。
?「さてと、近年女性の足をもぎ取って殺すという猟奇殺人の裏の犯人・・・一度は逃がしたが、もう今回は逃げられないぜ」
?『イヤダ!! アシガ・・・キレイナアシガ・・・ホシイ・・・ホシイ・・・ホシイ!!』
?「その正体は嘗てお前の持ち主だった女性が交通事故によって両足首を切断し、非業な死を迎えた際に発生した“思念”を吸収して動き始めた器物」
男は何かをブツブツと喋りながら歩いていく。
いつの間にかハイヒールとの距離はさほど離れていないところにまで近づいていた。
?「足を損失した女性が渇望した欲、『再び歩く足が欲しい』という願望が今回の凶行に及んだ。お前に付いているその血痕が惨劇を物語っているという訳だ」
男は懐から何かを取り出そうと内ポケットを漁り出す。
そして、そんな男へと向かってハイヒールは動き出す。
グラグラになりながらも、壊れた破片を必死につなぎ止めて元の形にし、なんとか歩く動作をする。
?「だから、始末する」
そう言い、懐から二つの物を取り出す。
それは、“金槌”と“何本かの釘”であった。
男はそれらは両手に別々で持ち、次の瞬間に凄まじい速さのスタートダッシュを切ってハイヒールへと向かっていく。
そして、ガツンガツンと激しい衝撃音がしたかと思えば、男は既にハイヒールの後ろ側へ少し遠くに移動し終えていた。
ハイヒール『ガ・・・ガガ・・・ギイィィィィ―――――!!!!!』
ハイヒールが金切り音の如く悲鳴を上げる。
なぜなら、ハイヒールには所々に先程まで男が持っていた釘が打たれ、地面に縫い付けられていたからだ。
激しく暴れるが、コンクリートの道路に打ち付けられる程の力で打ち付けられた釘は微動だにしない。
?「どうだ効くだろ? 京都のとある神社で使われた丑の刻参り用に念を込められていた釘を【反転術】でお前ら専用に精製仕上げた特別性だ。たっぷり味わいな」
ハイヒール『ギャアァァァァァァァァァァァァ!!!!!』
男は不敵に笑い、悲鳴を上げ続けるハイヒールを右手に持っていた金槌を右手で軽くポンポンと叩きながら様子を見る
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