舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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発行者:鯉詞C
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第11章 再会 梅花の娘
そして、生来備わったものなのであろう無意識のうちに息差しが清新なあだっぽさを放散させていた。夜叉丸は、静の成長の早さに眩しさを覚えて、静から視線を逸らした。
「じゅうぶんだろ、それで。太刀は重いぞ」
「だって、都じゃ、鬼姫さんっているじゃない。弁慶に斬りつけたって有名だよ。怪我をした家来を庇いながら、弁慶を打ち負かしたって。会ったことはないけど、きれいなお姫様なんだってね。憧れてるんだ」
 予想しないところで鬼姫の名を聞いて思わず吹き出した夜叉丸に静が怒った。気の強さは変わっていない。
「なにが可笑しいのよ」
「怪我をした家来を庇って戦う綺麗な姫だと? …… いや、なんでもない。久しぶりに遠乗りしてみるか」
 ふたりで北上川に沿って駈け、無量光寺まで行った。静は無邪気に楽しそうで何度も夜叉丸を抜こうとした。夜叉丸が意地悪く抜かせまいとすると、長い髪を風に遊ばせながら、負けん気の強い顔で怒った。夜叉丸は静の馬のあしらいに目を見張った。
――男として生まれたのならば、一角の武士になれたものを……
 ふと、鬼姫と一緒に駈けているような錯覚に気付き、笑いがこみ上げてきた。
 次の日も、そしてその次の日も夜叉丸は静にせがまれて遠乗りに出かけた。静の一座と今寝起きをともにしている。相変わらず親方の藤兵衛は、心の内面を隠した冷たい笑顔を浮かべているが、皆夜叉丸のことを覚えていてくれて、歓待してくれた。もっとも静以外は、一癖も二癖もありそうな連中だったが、その静が「わたしの旦那様になる人だからね」と皆に言っていることを間接的に聞いた。不思議だが静といると荒みかけていた心が和む。その頭から湯浴みをするような爽快さが帰京を遅らせていたのかもしれない。秀衡の草が調べた源氏の情勢をまとめ、忠度には適時手紙で報告して体裁を繕ってはいたが、自分に厳しい夜叉丸にとってこれは珍しいことであった。
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