舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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発行者:鯉詞C
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第11章 再会 梅花の娘
艶消しされた手裏剣十本を布に包み投げよこした。夜叉丸は、変わった男だと相手の笑顔につられて笑ってしまったが、好意を素直に受け取った。
 少し歩くと人通りのない所に小さな神社があった。境内に太い橡の木があったので、その幹を的代りに五間程離れた所から貰ったばかりの手裏剣を投げてみた。一投目は、木に弾かれて地面に突き刺さった。二投目は狙ったところに当たったものの、斜めに突き刺さった。
「下手だネェ、貸してごらん」
 声の方向に振り返ると青摺の小袖に薄紅梅の褶(しびら)の似合う華奢な少女が笑っていた。被衣(かずき)から覗いた顔は、淡い化粧こそしているが目元の涼しさに幼いころの面影が残っていた。
「やっぱり、やしゃだ。似てるナァって、さっきからずっと見てたんだよ。ずっと、ずっと会いたかったんだ、やしゃに」
 側に寄ってきた少女の髪と小袖からほのかな芳香が漂ってきた。「空薫物」(そらたきもの)でたきこめた「梅花」の香りであった。
「静か、大きくなったな」
「大きくなったなだけか? 綺麗になったろう。みんなそう言ってくれる」
 もうすぐ十四歳になろうとしているまだあどけなさの残った静だった。ただ、この三年でだいぶ口が達者になったようだ。
 貸してごらんよと、夜叉丸の手からひったくるように手裏剣をとると、指をそえるように伸ばし刃と柄を反対にした逆手持ちに構えた。左足を前に出して、ひざを軽く曲げるが早いか、先に夜叉丸が投げて木に刺さっている手裏剣に向かって投げた。
 静の投げた手裏剣は、半回転して鋭く木に突き刺さり、夜叉丸が下手に投げた手裏剣をはじき飛ばした。
 残りをすばやくいろんな構えから曲打ちして見せた。一本投げると、先に刺さった手裏剣を弾きとばし、同じ場所に鋭く突き刺さる。寸分のくるいもなかった。
「こうやって投げるのさ。毎日私が教えてあげるね」
「ほう、上手いものだ」
「だって、昔やしゃが夜盗をやっつけてくれたことがあったろ。藤兵衛の親方や兄者たちはそれなりに強いけれど、自分の身は自分で守らないとね。そうだ、今度太刀の使い方を教えてくれよ。これの投げ方、教えてあげるから」
 楽しそうに投げた手裏剣を拾い集める静の顔が、一気に集中力を発揮したせいか少し高揚した面持ちにほんのり汗ばんでいる。
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