舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第11章 再会 梅花の娘
 だから、儂は反対したのだ。にも拘らず九郎は勝手に弁慶と伊勢三郎という盗賊あがりの家人を連れ、頼朝のもとに出奔した。仕方がなかったので、九郎と懇意にしていた佐藤三郎、四郎の兄弟を彼らの郎党共々追いかけさせた。
 まだ、平氏の力は巨大じゃ。西国で舟戦になれば、十分すぎるほど平氏に利がある。旗色を鮮明にする訳には行かない。我が奥州は、あくまでも中立でいく。だから我が十七万騎の兵を九郎にはつけなかった。
「頼朝は弟だからといって特別扱いはせぬじゃろう。かといって、まとまった兵ももたぬ九郎は、声もかからず、部屋住みのままじゃ。九郎にはその方が幸せなのかもしれぬ」
「おとなしくしておりましょうや、あの義経が……」
 夜叉丸は、この平泉で毎日颯爽と馬を駆けていた義経の偉丈夫ぶりを思い浮かべた。きっと部屋住みでは我慢できまい。
「動けば、頼朝は九郎を許さぬ。平氏と違って、源氏は身内同士の勢力争いが多過ぎる。そういう血なのかもしれぬ。九月六日、市原の戦いで平家方の笠原頼直を木曽義仲が破ったようだが、義仲の父義賢を滅ぼしたのは、義仲の従兄弟の義平じゃ。九郎に万が一のことが起こったら、夜叉丸殿、お頼み申すぞ」
 僧体の秀衡が深々と夜叉丸に対して頭を下げた。夜叉丸が慌てた。
「馬鹿な……、私は義経を殺す側の人間ですよ」
「夜叉丸にとって、もっと大きな敵が現れたのだ。頼朝という、な。この敵は、手ごわいぞ。近い将来必ず、平氏に仇をなす。義経など小さい、小さい」
「また、そうやって、私を義経から引き離そうとなさる。仰せの通りであれば、頼朝は私には大きすぎます。五条の大橋の上であやつと初めて斬り結んで以来、腐れ縁のようなもの」
 腐れ縁という言葉に何かを思い出したようで、秀衡がふと膝をたたいて目を細めた。
「前に平泉を離れるとき、九郎と馬の勝負をしたそうじゃの。九郎がたいそう喜んで話して聞かせてくれたぞ。あやつはおぬしのことを敵だとは思っておらん」
「それは、好都合というもの」
 平静さを装う夜叉丸に秀衡は、彼の心を見透かしたような底意地悪い笑い方をした。
「ならば、何故その時、自慢の五条兼永に手をかけなかったのじゃ? 油断した義経を討ち取れたであろうに」
「流鏑馬に負けましたゆえ」
 それも嘘だ。
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