舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第2章 平氏の剣
 逆らわなかった自分に松寿丸は戸惑った。父が早く死に兄以外は誰も松寿丸を強く叱る者はなく、自然我が儘に育っていたのだ。死んだ兄が目の前に再び公達の格好をして現れたのかと錯覚した。むろん無骨な荒男だった兄とは似ても似つかないが、肌に感じる情の深さがそう思わせたのかもしれない。何度か気合を入れて素振りをしていく中で、その公達は松寿丸の自己流であった太刀筋を少しずつ矯正していった。
 右手は添えるだけじゃ、人差し指と親指は離してみよ、と言われるたびに松寿丸の素振りはそれらしくなっていった。松寿丸自身も動きに無駄が少なくなったことを自覚できた。
「形になってきたようじゃ、昨日とは違う」
 いつの間にか六波羅の那咤と名乗った禿が立っていた。
「わらわでさえ、忠度の叔父上から手解きを受けたことなぞないのに、羨ましい。叔父上、何故わらわには教えてくださりませぬ」
「鬼姫と呼ばれし扇寿殿に剣など教えようものなら、御父君重盛殿からこの忠度が叱られように。じゃが、こやつは強くなる。今の何倍も強くなる素質を持っておる」
 彼は笑いながら話をはぐらかした。この年二十六歳になる平忠度である。忠度は、平清盛の歳の離れた弟であり、重盛の叔父にあたる。母は丹後守藤原為忠の娘で、剛勇の誉れ高く更に和歌の名手でもあった。
 いきなり六波羅の鬼姫が松寿丸へ打ちかかっていった。
「ならば、わらわがその才を伸ばしてやる。実戦じゃ、いくぞ、下郎」
「下郎ではない。柚木松寿丸じゃ」
「痩せた薄汚い野良犬のくせに、名などいらぬ!」
「うるさいっ!」
 いつの間にか軽く細かい雪が翻りながら空から散ってきたが、激しく打ち合う二人の熱気に風花もすぐに蒸発していくようだった。
 やはり最後には昨日同様地面に叩き伏せられて終わったが三本は相手に入れることができた。進歩だった。
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