舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
アフィリエイトOK
発行者:鯉詞C
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第11章 再会 梅花の娘
「西国を襲った飢饉に兵糧もなく、戦う前から見えぬ坂東武者の勇姿にみな怯えておりましたゆえ負けるのは明らか。言い訳はいたしますまい。私も平家より俸禄を受ける身。悲しさも悔しさも極みでございます」
「確かに夜叉丸の申す通りじゃが、それは表面に現れたこと。だが平氏がこのたび負けた原因はもっと深いところにあると知らねばなるまい。平氏の中にいてはそれも見えぬであろうの。もっとも勝った源氏にしてもそれはわかるまい」
 要は第三者にしかわからぬ勝因と敗因があると言いたいのだ。それが何かを夜叉丸に答えさせ、まだまだ考えが足りぬとあれこれ難癖をつけながら楽しみたい心が見え隠れしている。いつものことだ。そんな秀衡の心を読んだ上で夜叉丸はわざと考えることをやめ、秀衡に委ねることにした。夜叉丸流の甘えである。
「もっと考えぬか。忠景とは、すなはち忠度殿の影、薩摩守殿の若き懐刀であろうに」
 然は言え口を尖らせて見せた秀衡の眼までは心の奥底にある優しさを隠せないでいる。
「御館様は先程平氏の中にいてはそれも見えぬと仰せになりました。私も平氏の中に身を置く者なれば、御館様の深慮まで到底及びもつきませぬ」
「少し見ぬ間に小癪な言い訳をするようになったものじゃ、やはり京へ帰すでなかったわ」
 笑いながら秀衡は幾分前屈みになると夜叉丸を更に近くにと手招いた。
「良いか? 王道守護として生まれた武の中でも今の平氏は、本流じゃ。武の嫡流といってもよい。だが王都の柵の中でその地位を維持するために守らねばならぬものが増え過ぎた。平家一門だけでなく、雑兵にいたるまでそれは同じ」
「源氏は守るものがないと?」
「そうじゃ、平氏に搾取され、地方の源氏は何も無い。守るものがない方が強い。それぞれの生き様が出たのがこのたびの富士川じゃ。ところで九郎は、頼朝殿に無事会えたかの?」
 やはり、秀衡の本題はそこであったのかと、夜叉丸は背筋を伸ばして一呼吸置いた。だから普段とは違い、いとも簡単に種明かしをして見せたのであろう。夜叉丸は少しばかり義経に嫉妬しながらも黄瀬川の陣で見た光景を秀衡に話した。
「食えぬやつ。想像以上の男よ、頼朝は…… 九郎に対して、魚と水との如くにしてと、頼朝は申したか。どこからそのような台詞が出てくるのじゃ」
89
最初 前へ 86878889909192 次へ 最後
ページへ 
小説家になろうのサイトにて1カ月で2000アクセスを達成しました。
ページの先頭へ