舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第9章 法皇幽閉と源三位頼政の煩悶
 二年が経ち、治承三年(一一七九)になった。
 前の年、建礼門院が懐妊し、言仁親王(安徳帝)を産んだ。これにより、建礼門院の子が即位すれば清盛は天皇の外戚として、ますます平家一門が栄えるようになるという矢先、とかく諸勢力とぶつかり合う清盛の陰で、公卿や平氏一門の調整役として能力を発揮していた内大臣平重盛が七月二九日、病死。享年四十二歳であった。鬼姫の悲しみは深く、しばらく夜叉丸は声をかけることを憚った。夜叉丸は勝手に松風に乗りにくる鬼姫を黙って見守るしかできなかった。
 十一月十一日から五節という四日間にわたる少女楽の宮廷行事がはじまる。丑の日から辰の日までの盛大な儀式である。それは五節の最終日、十一月十四日に起こった。
 しばらく、福原に引っ込んでいた清盛が数千騎を率いて急に上洛したのだ。
 上洛の理由は三つあったが、院への反乱である。
 清盛の嫡男、内大臣重盛が没した時に、知行国越前国を院が重盛の嫡子惟盛より取り上げてしまったこと。次に関白家に嫁いだ清盛の娘盛子が夫基実(当時摂政)の遺領を相続していたが、盛子の死後(一一七九年六月)その子基通に相続させずに院が取り上げたこと。そして、院と関白の思惑で八歳の師家が基通を飛び越えて中将になったことである。
 これらは、まさに法皇の過怠、関白の罪科として責められるべきものであった。
 十六日に前関白の基房が逐電し、翌日に三九人が解官され、その欠員を平氏で埋める除目が連日行われ続けた。
「日本秋津島は、わずかに六十六箇国、平家知行の国卅余箇国、既に半国に超えたり」(平家物語)という古今未曾有の状態になった。この時、十九日平教経は能登守に昇進している。
 平家は、院に対する武力行為で政権を奪い取ることに成功した。
 二十日には、後白河法皇を鳥羽に幽閉し、院政を封じ込めた。
 ここに、院から独立した平氏政権がはじめて誕生したことになる。
 清盛は、同日午の刻に福原に帰ろうと輿を大路に進めていた。
 その行列に向かい、なぜ後白河の首を獲ってしまわぬのかと息巻く教経の口を夜叉丸は慌てて塞いだ。しかし、その隣で鬼姫が「能登守殿が申されておる通りにせよ!」と気炎を上げている。夜叉丸は堪らず鬼姫に蹴りを入れた。御簾の中から笑い声が聞こえて夜叉丸は振り向くと、平氏の若者を見つめる清盛の優しい目があった。
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