舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第6章 夜盗と傀儡師
 夜叉丸は、自分の閃きを確かめるように次々と賊を斃していった。そして、その斬り込む頃合いを実戦の中で会得していった。最後に汚らしい法衣を着た法師が印を結んで夜叉丸の前に立ちはだかった。呪文を唱えると夜叉丸に向かって白虎を飛ばしてきた。式神であった。夜叉丸は、動じず白虎の幻影もろとも法師を斬り倒した。
――教経に勝てるかもしれない
 死地を斬り抜けた安堵感よりも、自分の剣技がまた一歩完成に近づいたことを実感した。そして何よりもあの忌まわしい力が出てこなかったことに逸る気持ちを押さえながら宿に戻ると、傀儡子や屋敷の者が一斉に夜叉丸を取り囲み賞賛した。遠くから母に抱かれてその様子を眺めていた白拍子舞の娘が、母を振り切り夜叉丸の傍まで駆け寄った。娘は拳固をつくり夜叉丸を何度も打ち据えた。抱き抱えた娘は、「やしゃが死ぬかと思った」と泣いた。
「死にはせぬ。死ねば、静の舞が見られなくなる」
 静と呼ばれた娘が泣き止むと、傀儡子の集団の長が進み出た。白髪で下膨れの顔をした小柄なわりには恰幅のよい翁だった。傀儡人形を巧みに操る親方であった。
「この者らの親方をやっております蛯子の藤兵衛と申します。柚木様、私どもは奥州平泉へ参ります。もし、よろしければ旅は道連れと申します。是非に、……またかようなことがこれから先も起こるやもしれません。お守りくださいまし」
 ひとりの退屈さに飽きていた夜叉丸は、気まぐれに承諾した。夜叉丸に抱きかかえられた静の顔が嬉しそうに華やいだ。

 平泉についても夜叉丸は傀儡子の一団とともに行動した。元の宿に入るべきではないと思った。これ以上あの家の娘と深い仲になりたくない。抱けば抱くほど鬼姫を想い、また、その娘に対して何の感情も湧かない。それは辛いことであった。
 義経の日常は相も変わらず変化が無かった。あの六韜三略を読んでいる風も無かった。
 夜叉丸は、暇になると静の相手をさせられる。舞の稽古が終わると静がすぐに夜叉丸を捜したためだ。静は名に似ず馬に乗って駆けるのが好きだった。最初は夜叉丸の前に乗せてもらっていたが、いつの間にか別の馬に跨り夜叉丸に競走を挑むようになった。夜叉丸は静といると鬼姫を思い出した。わがままで気の強い鬼姫を……
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