舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第6章 夜盗と傀儡師
盗賊の集団は平静さを失い不安な気持ちが蔓延していった。たまらず裸に鎧を着ていた者が大声を上げて逃げ出したのを機に殆どの賊が逃げ始めた。夜叉丸は更に追ってまた幾人かを斬り捨てた。盗賊たちは逃げる速さを更にあげた。
 夜叉丸は、太刀を鞘に納めようと気を緩めた時、突然背中に殺気を感じて振り向いた。
 夜叉丸の目前を白刃が煌めいた。更に突きだされた長刀を、体を捻ってかわすといつの間にか五人の大男に囲まれてしまっていた。彼らは傀儡子の何人かに傷を負わせていた。逃げた者たちよりも明らかに腕が立つ。彼らは兎でも追うように慣れた連携で夜叉丸との間合いをジリジリとつめてきた。一応は夜叉丸の強さを警戒していた。
 手に武器を持った傀儡子達も彼らの強さがわかったらしく、迂闊に飛び込めず遠巻きに見ているだけで夜叉丸を見捨てた格好になった。
 一人の法師姿の男と四人の盗賊が目で合図を繰り返し、一気にかかろうとしている気配が夜叉丸にも伝わってきた。さすがに一度に五人掛かられては夜叉丸にも勝ち目が薄い。彼らの顔に余裕の笑いが浮かんできた。しかし、彼等を怖いとは思わなかったが、あの冬山で体験した忌まわしい残忍な力がよみがえってくるのではないかと心配した。夜叉丸は意識して呼吸を整えながら後ずさりし、首から下げてあった守り袋を右手で強く握り締めた。忠度からもらった橡殻の感触に夜叉丸は冷静な心を取り戻した。
 遠くから忠度の声が聞こえる。
――小川の瀬々を流るる橡殻も実を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ! 今じゃ、行け!
 彼は、カッと目を見開くと、切っ先を地面すれすれに這わせ、目の前の賊に跳び込んでいった。長刀を構えていた男は、咄嗟に攻撃の動作へ移ろうとした時、一瞬動きが止まった。夜叉丸がその隙を認めた時には、勝手に太刀が下から長刀を跳ね上げ、返す太刀で男の肩口を鋭く斬り裂いていた。即死であった。すぐさま左の男に切っ先を合わせ、残りの三人を気合で牽制した。右の男が太刀を振り被ろうとする筋肉の動きが見えた。すかさず夜叉丸は体をぶつけるように跳び込み、斬り斃した。夜叉丸は確信した。人は次の動作に移る時、動きが停止するのだ。そこに捨て身で斬り込む。
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