舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第6章 夜盗と傀儡師
 同宿の傀儡子の一団も屋敷の者も皆寝静まっている。夜叉丸は天井の梁に音も立てずに跳び上がり外の様子を窺った。二十人ほどはいるだろう。皆盗んだ鎧を着込んでいるようだ。中には小袖も着ず裸の上に直接鎧を着ている者もいる。ひときわ目立つ大鎧を不恰好に着て長刀をかざしているのが親玉なのだろう。しきりと皆に指図をしている。片方の鍬形がとれた兜から頭のはみ出ている巨漢であった。
 このまま関わりにならず逃げてしまうこともできるが、男舞いを見せてくれた少女の寝顔が視界に入っている。昼間の疲れか、かなりの寝相の悪さであった。夜叉丸の顔に自然と笑みが浮かんだ。その少女の寝姿に幼い頃の鬼姫が重なって見える。
 姫を守らねば……
 しかし、敵の本当の力がまだ見えない。どうしたものかと作戦を練っているうちに、苦笑いが込み上げてきた。奇襲! 一気に頭を斃す。
――義経流か……
 夜叉丸は闇に紛れて外に出ると盗賊の集団の後ろに潜んだ。
 この時代の盗賊にはまだ作法と呼べるものがあった。名乗りを上げながら乗り込むのだ。
「出合えや、我は……」と盗賊の親玉が大声を出した瞬間、その男の頭が胴体と離れて宙を飛んだ。何事かと盗賊が振り向くと、親玉の身体がどっと倒れた。後ろに五条兼永を抜いて八双崩しに構える夜叉丸が立っていた。
「何者じゃ? まだ名乗りも終わらぬうちに、卑怯!」
 盗賊の中から甲高い声が上がった。
「鏡神社御祭神の御使いじゃ、乱暴狼藉を働く者どもよ、成敗いたす」
そう言うが早いか盗賊二人を返り血も浴びぬほど電光石火の早業で袈裟がけに斬り倒した。夜叉丸の切っ先が月の光を反射させて弧を描いた。盗賊の、太刀を握ったままの右腕が飛んで仲間の中心に落ち、地面に突き刺さった。彼らに動揺が走ったのと屋敷の者たちが手に獲物を持って出てきたのが同時だった。盗賊の下見に来た者が一見公家のごとくたおやかに見え派手な太刀を佩く夜叉丸を見縊って報告したのが彼らの誤算だった。盗賊等が躊躇している間に夜叉丸が続けて三人を倒した。傀儡子の集団の中の若い男たちが夜叉丸に加勢し、夜叉丸がとどめをさせなかった者を大勢がいっしょになって嬲り殺した。
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