舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第5章 陰陽師鬼一法眼 対 龍笛
 オンキョバミリキャキャバキャミリキャナラアロウジンニョウアロウバカアキャシュロウカバカテイジナハラソクソバカ
法眼の部下も次第に態勢を整え、囲んだ輪を狭めて来る。
法眼が呪法を繰り返し唱えていくうちに、弁慶と佐藤兄弟は自分の意思に反して身体が硬直しはじめた。もがけばもがくほど、体中の汗が噴き出してくる。その汗が周りの冷たい空気に触れて体温を奪う。
――馬鹿な、動けぬ!
 弁慶は、焦る意識の中でますます身体の自由がきかなくなり、視界がだんだんと狭まるや幻聴が聞こえるようになった。突然、空は俄かに掻き曇り、雷が轟いた。弁慶は大声で叫んだが、一気に頭の中が酸欠状態になって、血管が切れそうだった。
 法眼は、両手人差し指をたて合わせ、これに中指をからませた大金剛輪印に結びかえ、摩利支天の真言を繰り返す。
ナモマリシエイサバサバアニャリシャリソバカ
ナモマリシエイサバサバアニャリシャリソバカ
……………………………………………
「式神、召喚!」
 法眼は大空に手を突き出した。法眼の弟子達も一斉に紙で作った式神を飛ばした。それらが空中で蛇に姿を変えたかと思うとだんだんとひとつに繋がり合い、巨大な蒼龍に変化した。
 一旦空に昇った青龍はすぐに地上に降りると大きなトグロを巻きながら弁慶たちを締め付け始めた。
 弁慶と佐藤兄弟の頭の中を呪文が木霊のように反響し続ける。締め付けられて窒息しそうだ。声が出ない。両肩がずしりと重くなり、白麻の袈裟頭巾が大量の汗で湿ってきた。息苦しい。このままではやられるという不安を振り払えず、弁慶達は恐怖の大きな底なし穴の中に落ちていきかけたとき、どこからともなく力強い笛の音が流れて来た。
 その笛の音に法眼が思わず印を解き、その場に崩れた。
 義経が牛若丸と呼ばれていた頃より親しんだ龍笛である。常盤は亡き夫義朝が笛を吹くことを好んだので牛若丸が鞍馬へ修行に出る時、笛を渡した。義経にとって笛は、父であり、母であった。
 笛の音に法眼の呪詛が打ち消されていく。義経は龍笛を吹くことによって亡き父義朝の霊力を呼び寄せた。
 雷雲が引き、再び太陽が顔を出した。幻覚を見せられていたらしい。視界が開けると再び呼吸ができるようになった。義経は馬上から佐藤兄弟や弁慶の肩を強く押して術を解いた。
「法眼、この場に及んで子供だましの手を使うでない」
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