舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第5章 陰陽師鬼一法眼 対 龍笛
「試したのか? しかし、法眼殿、六韜三略を目当てに来る客人に今のような真似をしてはならん。首と胴体が離れるぞ。もっとも検非違使の囲みを破ってここまで来たならば、 という話だが」
「夜叉丸殿より強いと申されるか、何者でござろう? 教えてもらえまいか」
 法眼の諂いに夜叉丸は、心の中で密かに唾棄した。
「強いかどうかはわからぬが、源九郎義経じゃ。奴の噂は聞いたことがあろう」
 鬼一法眼は、義経の名を聞いて高らかに笑殺した。
「遮那王か? 懐かしい。鞍馬の山で奴に剣術を教えたのは、何を隠そう我らが仲間よ。安心召されよ、太刀筋はよくわかっておりまする。しかし、たとえ我が弟子の末席を汚した遮那王といえども、六韜三略は我が家法。渡すわけにはまいりませぬ」
「義経に剣を教えたなどと、平家の者を前にしていうことではないぞ」
「戯れの手慰みで犯した浅慮でございました。今は平氏の世であることを重々承知しておりまする」
 人を見て変節する陋劣な態度に信のおけぬ男だと法眼を冷眼視した夜叉丸は、このまま無意味な会話を続けていく気が失せた。早々と次の間に入り、金剛等に指図した。
 一刻が過ぎた頃、表が騒がしくなったと思ったらすぐに静かになった。(検非違使の連中は、全滅したな)夜叉丸は、五条兼永を静かに抜いて息を潜めた。金剛らには、袖を噛ませて息の音が漏れぬよう支持した。
義経と弁慶が法眼の家の郎党を、当たるを幸いに蹴散らしながら、法眼の坐す奥へ入って立ち礼した。義経の太刀の刀身から何人もの血が混ざって滴り落ちていた。
「おなつかしや、法眼殿」
 法眼は、義経と弁慶に動じた様子もなく、毅然と応じた。
「遮那王、いや義経殿、よく我が屋敷の囲みを破りここまで辿り着いたものよ。まずは太刀を納められよ。今宵はもう遅い。見逃してしんぜよう。そして早く京を離れなされ。今は源氏の世にあらず。平氏の世に、かように訪問されては甚だ迷惑至極。この鬼一法眼、痛くもない腹をさぐられまする」
 義経は、構わず来意を告げた。しかし、法眼が夜叉丸に告げたことは、嘘ではなかった。六韜三略は家宝につき渡すことはできぬ、まして見せることも叶わぬと固持した。
 だが、義経は一向に引く様子はない。
「家宝の蔵へ案内せよ」
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