舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
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ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

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舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第5章 陰陽師鬼一法眼 対 龍笛
 義経が京に入ったと知らせが入った。
 陰陽師鬼一法眼の屋敷を検非違使少尉が放免らを引き連れて取り囲んだ。屋敷は、京の中ではあったが、四方に堀を廻らせ水を湛へ、八の櫓があった。夕には申刻、酉時になれば橋を外し、朝には巳午時まで門を開かずという備えであった。
 陰陽師とは、律令に定められた陰陽寮と云う役所に所属する役人で、古代中国の陰陽五行説にもとづいた呪術を行なう占い師である。天文、暦、方位学にも通じていた。鬼一法眼は、文武二道に通じ、公家、法師、殿上人などに数千の弟子を有していたという。
 鬼姫衆金剛組の数人を従えた夜叉丸は、鬼一法眼に対面していた。奥座敷の中で、平忠度の名代だという夜叉丸は上座に通され、法眼は平伏している。いかにもわざとらしく虚礼を押し付けてくる男など信用できぬと夜叉丸は内心思った。六韜三略が狙われていることを伝えると、鬼一法眼は高笑いして、首丁頭巾(しゅちょうずきん)を深くかぶった頭を上げた。
「ご心配あらせられるな。それに、六韜三略は、わが家宝。何人であろうと、決して見せることもございません」
 法眼は笑ってそう答えたが、目は冷たく光っていた。
「わかった。おそらくその者が今夜押し込みにくるであろうとの知らせがあった。次の間に控えさせてもらう」
「ご随意に」
 更に慇懃さを見せて夜叉丸に対し、扇を広げながら三度拝伏した。三度目に伏した時、扇の影に鬼一法眼がすっと消えた。扇が倒れると季節外れの白い蝶が何羽もひらひらと法眼が消えたところから舞い上がった。部屋中に姿を消した法眼の高笑いする声が反響する。入道頭で大柄な金剛をはじめ鬼姫禿衆が一斉に堪らず部屋中をかけまわるほどの動揺を見せた。
「うろたえるな、金剛!」
 夜叉丸は皆を制し、倒れた扇を平然と拾うと、そのまま天井へすばやく投げ上げた。
 法眼がその扇を受け取ると、声も出さずに大笑しながらゆらりと下へ舞い降りてきた。
「さすがお噂通り、鬼姫衆一の使い手柚木夜叉丸殿。よくぞ見破った」
 笑いながら夜叉丸の前に立った法眼の顔が凍りついた。
 夜叉丸は、抜く手も見せずに太刀の切っ先を法眼の目前に突き出し、威嚇していたのだ。構えに夜叉丸の若さに似合わぬ威風が漲っており、その迫力に法眼はたじろいだ。
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