舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺―
アフィリエイトOK
発行者:鯉詞C
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2011/09/25
最終更新日:2011/09/25 11:22

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
舞う蝶の果てや夢見る ―義経暗殺― 第4章 奥州下り 監視する者とされる者
義経は、乗馬に狩と戦の真似事をするときだけ五条の橋で戦った武人の顔に変わる。真実の義経を知るようになって、いつの間にか夜叉丸は義経に対する気後れが消えた。むしろ、軽侮した気持ちが湧いてきている。
――御大将とは、忠度様や知盛様のことをいうのじゃ、重衡様もおられる。平家一門だけではない。家来の中にも……
 ざっと見渡しただけでも義経よりも大将に相応しき者は、平氏には多勢いる。義経は大将の器ではない。
「御曹司、時期を待つのです。まだ、時は熟しておりません。御曹司は、その日のために源氏の大将としての力をつけるときです。今は兵法でも何事でも学び……」
「そうじゃ、兵法といえば、六韜三略を知っておるか?」
 義経は苛立っていた。
「陰陽師鬼一法眼が秘蔵の奥義書でございますか?」
 六韜三略は、日本に遣唐使上毛野真備が伝えたということになっており、文韜、武韜、竜韜、虎韜、豹韜、犬韜の六韜と上略、中略、下略の三略に分けられた兵法秘伝の奥義書である。太公望が、武王の質問に答えて、兵法の奥義を語っていくといった具合に書かれている。
 この書を学んだ中国前漢の初代皇帝劉邦の功臣長良は、三尺の竹に乗り、インド中部の摩伽陀国から中国東北部の契丹国まで飛びわたる力を得たという。わが国でも坂上田村麻呂が、この書に学び蝦夷の首領を討ち取ったといういわくつきの兵法書である。
 義経は、どうも思い立ったら意固地になる性格らしい。今より京へ立つと弁慶を困らせた。陰陽師の鬼一法眼は、京の一條堀川の園城寺に住んでいる。
「大丈夫じゃ、ちょっと京に行って、六韜三略を貰い受けすぐに戻ってまいる。馬で駆け通せば、すぐじゃ。弁慶、支度いたせ」
 床の下で、夜叉丸は焦った。すでに義経の性格は十分理解している。
 夜叉丸はその夜のうちに平泉を出た。一気に白河の関まで駆けた。目代に義経が関を越えたら京へ連絡するように頼み、馬を換えて休まず京を目指した。途中の宿場の役人にも手出し無用、急ぎ知らせよと平忠度の名で命じていった。手出し無用とは、もちろん殺生を厭わぬ義経と弁慶から役人達の命を守るためである。
 各宿場で義経と弁慶を見届けながら夜叉丸は京へ先回りした。途中で襲うことも考えたが、二人を相手にするには、分が悪かった。
42
最初 前へ 39404142434445 次へ 最後
ページへ 
小説家になろうのサイトにて1カ月で2000アクセスを達成しました。
ページの先頭へ